十分に使って!―非接触式発泡ディスペンサーから出た擦式製剤の量により評価した手指衛生の質
Apply enough!―Quality of hand hygiene determined by the volume of handrub provided by touch-free foam dispensers S. Bansaghi*, C. Voniatis, N.M. Smith, J.J. McNulty, J.W. Arbogast, T. Haidegger *Obuda University, Hungary Journal of Hospital Infection (2026) 171, 219-226
擦式アルコール製剤(alcohol-based handrubs:ABHR)を用いることは、感染の拡大を制御するための重要な因子となる可能性があるが、それは有効な手指擦式製剤を適量使用した場合に限る。ABHR は少量のほうが速く乾くことから、医療従事者は少量を塗布することを好む場合が多い。この市場の嗜好に対応して、ディスペンサーの製造業者は、少量を吐出するようにディスペンサーを設計する傾向にある。本研究の目的は、製造業者があらかじめ設定した量が、完全な被覆を達成するのに適しているかどうかを検討することである。
医学生に、3 種類の異なる壁掛け式自動ディスペンサーから発泡型手指擦式製剤を使用して、手指衛生を実施するように依頼した。手指衛生事象ごとに、乾燥時間および手指被覆率を客観的に測定した。参加者には、受け取った ABHR の量を定性的に評価することも依頼した。
医学生 60 名が全 3 種類のディスペンサーを試し、それぞれから 1 または 2 回分を塗布した。手指被覆率は塗布された ABHR 量と強い相関を示した。擦式製剤の塗布量が 1 mL未満のときには、手指表面の 10%以上が被覆されなかった。乾燥時間は制限要因になると考えられ、擦式製剤 2.6 mL を用いたときの平均乾燥時間は 47.5 秒であった。受け取った ABHR 量に対する参加者の認識には一貫性がなかった。
吐出された ABHR 量が、達成される被覆率を決定したことから、設置するディスペンサーを選択する際の質の主要指標にこれを加えるべきである。参加者は、受け取った擦式製剤量が適切であるかどうかを誤って判断する場合が多いことから、人間の直観は頼りにできないことが示唆された。量が多いほど手指はよく覆われるが、より長い乾燥時間が必要となり、遵守を妨げる可能性がある。
監訳者コメント:
自動泡状手指消毒薬の吐出量が、手の網羅率と乾燥時間を決定づける。1 mL 未満では 10%以上の面積が未消毒となるが、必要量を適用すると乾燥時間が長引き、遵守率低下を招く懸念がある。また従事者の感覚による用量判断は極めて不正確である。適切な製品選定には吐出量評価が必須であり、速乾性と網羅性を両立する製剤開発と適正量の教育が急務である。
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