再利用可能なステンレス鋼医療機器材料におけるバイオフィルム形成の2つのモデルの比較
Comparison of two models of biofilm formation on reusable stainless steel medical device material G.G. Anderson*, S. James, S. Kovvali, F.W. Dang, A. Vishwakarma, M.-C. Gagnon, N. Goulet, F. Racine, P. Labrie, M. Eppihimer, J.W. Weeks, B. Haas, R. Pandey *US Food and Drug Administration (FDA), Center for Devices and Radiological Health (CDRH), USA Journal of Hospital Infection (2026) 168, 23-30
背景
再利用可能な医療機器は、次の患者での使用前に再処理が必要である。再処理が不十分であると、汚染微生物がバイオフィルムを形成するのに適した状態が生み出される可能性がある。この脅威にもかかわらず、医療機器製造業者がそれらの機器の添付文書や使用説明書に記載するバイオフィルム評価を行うためのガイダンスは不足している。現時点で、医療機器または機器材料におけるバイオフィルム形成に関して、米国食品医薬品局に認められた標準モデルはない。
目的
確立された標準法について、医療機器製造業者および規制当局が検証ツールとして使用するための適合性を評価した。
方法
ドリップフローリアクターおよび CDC バイオフィルムリアクター(CDC-BR)を用いて、医療機器材料の代理表面となるステンレス鋼試験片に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のバイオフィルムを増殖させた。実験のパラメータの範囲内で増殖時間、抽出手順および抽出培地を最適化した。コロニー形成単位(cfu)、蛋白質濃度および全有機体炭素の比較により、モデルの適合性を判定した。
結果
データから、両モデルは、せん断応力条件が異なるにもかかわらず、同程度の量のバイオフィルム(cfu により定量)を生成することが明らかになった。結果から、蛋白質および全有機体炭素が、検討を行った条件下でバイオフィルムバイオマスを定量するための分析対象になりうることが示された。さらに、各試験の結果において、複数回の反復バイオフィルム抽出間のばらつきは小さい。
結論
両モデルは再現性のあるバイオフィルムを生成し、cfu 値は同程度であったが、全有機体炭素および蛋白質の濃度は異なった。本研究の結果は、CDC バイオフィルムリアクターおよびドリップフローリアクターが、医療機器材料でのバイオフィルム増殖を検討するための信頼度の高いプラットフォームとなることを示している。
監訳者コメント:
本研究は、再利用可能なステンレス製医療機器における緑膿菌バイオフィルム形成モデルとして DFR と CDC-BR の有用性を比較検証した。両モデルは同等の生菌数を有するが、剪断応力の違いにより細胞外マトリックス量に差が生じることが示された。これは、不適切な再生処理によるバイオフィルム残存リスクを正確に評価する上で極めて重要な知見である。今後は臨床現場の環境に近い乾燥バイオフィルムへの適用や、より高感度な残存評価系の確立が急務である。
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