経腸栄養を受けている患者における院内クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)感染による下痢のリスク因子:スコーピングレビュー

2026.01.10

Risk factors for nosocomial Clostridioides difficile infection-induced diarrhoea in patients receiving enteral feeding: a scoping review

G. Alasbly*, S. Alotaishan, Y. Algindan, R. Khattab
*Imam Abdulrahman Bin Faisal University, Saudi Arabia

Journal of Hospital Infection (2026) 167, 81-90

院内クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)感染(CDI)による下痢は、重大な医療関連感染症であり、特に重症患者に多くみられる。抗菌薬の使用と腸内細菌叢の乱れが既知のリスク因子であり、経腸栄養(EF)の役割についてもさらなる検討が必要である。本スコーピングレビューの目的は、経腸栄養を受けている入院患者において院内 CDI による下痢のリスク因子を検討し、EF に関連する因子が CDI の転帰に及ぼす影響を評価することであった。EF を受けている入院患者を対象に CDI リスクを評価した最近の研究から、抗菌薬曝露、入院期間、EF の種類、腸内細菌叢の変化に焦点を当て、エビデンスを統合した。特定された重要なリスク因子は、長期の入院、抗菌薬使用、栄養チューブ留置などであり、これらはすべて C. difficile の定着を促進する可能性がある。細菌多様性の低下を特徴とする腸内細菌叢の変化は、長期の EF および栄養剤中の食物繊維の不足と関連していた。高繊維の半消化態栄養剤は細菌のバランスを支える可能性がある一方、プロバイオティクスの CDI 予防効果には一貫性がなかった。管理戦略として強調されていたのは、抗菌薬適正使用支援、感染制御、栄養最適化などである。糞便細菌叢移植およびベズロトクスマブは、再発の抑制に有望である。しかし、特定の EF 法(例:持続栄養か間欠栄養か、半消化態栄養剤か成分栄養剤かなど)が CDI リスクに直接影響を及ぼすかどうかについては、エビデンスが依然として限られている。EF は、腸内細菌叢や関連する因子に対する影響を介して、CDI リスクの一因となる可能性がある。一部の EF 戦略は有益となる可能性を示しているが、CDI 予防におけるそれらの役割を検討し、リスクがある患者のためのエビデンスに基づく栄養ガイドラインを作成するためには、さらなる研究が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

経腸栄養(EN)は入院患者の CDI リスクを約 3 倍に高める要因であり、特にチューブ留置や 2 週間以上の長期施行、食物繊維不足の製剤使用が顕著なリスクとなる。これは短鎖脂肪酸産生菌の減少による多様性低下と、チューブへの芽胞付着が関与している。対策として抗菌薬適正使用に加え、食物繊維配合製剤の選択やポンプを用いた持続注入による腸内環境の保護が重要である。栄養管理を感染症予防の重要な介入と捉える視点が求められる。

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