ウクライナで負傷した人から分離された肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の抗菌薬耐性の特徴および高病原性の遺伝的決定因子

2026.01.10

Antibiotic resistance characteristics and genetic determinants of hypervirulence in Klebsiella pneumoniae isolated from wounded individuals in Ukraine

V. Kondratiuk*, P. McGann, B.T. Jones, N. Fomina, O. Nazarchuk, V. Kovalchuk
*World Health Organization, Ukraine

Journal of Hospital Infection (2026) 167, 232-237

序論

本研究は、ウクライナでの戦闘損傷に関連した肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の抗菌薬耐性および高病原性遺伝的決定因子のサーベイランスを継続するものである。

目的

2022年から2023 年の期間にウクライナ人兵士の戦闘創傷感染症から分離された肺炎桿菌の抗菌薬耐性パターンの特徴と高病原性関連遺伝的決定因子を解明する。

方法

ウクライナ中部の 3 つの軍病院で治療された負傷兵 171 例の創部スワブから56 株の肺炎桿菌が得られた。ウォルター・リード陸軍研究所において細菌同定、薬剤感受性試験、全ゲノムシーケンシング、コアゲノム複数部位塩基配列タイピングを実施し、クローンの系統と高病原性遺伝子のプロファイルを明らかにした。

結果

すべての分離株が多剤耐性(MDR)を示し、78.6%(N = 44)は超多剤耐性(XDR)に分類された。カルバペネム耐性率は高く(イミペネム69.6%、メロペネム82.1%)、一方でコリスチンはすべての株が感受性であった。系統解析では、5 つの主なクローン群が同定され、ST395(35.7%)と ST307(25%)で優勢であった。高病原性の決定因子は多様に存在し、iuc(アエロバクチン)、ybt(エルシニアバクチン)、rmpA などが確認された。注目すべきことに、分離株の100%がカルバペネマーゼ遺伝子(blaNDM-1blaOXA-48)や基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(blaCTX-M-15)を保有し、一部の株は 16S rRNA メチルトランスフェラーゼ(armArmtF1)を保有しており、耐性や高病原性の特徴の集積が示された。

結論

本研究は、ウクライナの戦争関連創傷感染症における MDR および XDRの肺炎桿菌の存在率が懸念されるレベルであることを浮き彫りにし、高リスクの国際的なクローン(ST307、ST395、ST147、ST23)が優勢であることを示した。これらの株は、薬剤耐性と高病原性の両特性を兼ね備えており、サーベイランスと感染制御を強化することが必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

日本においても、災害医療や救急医療の現場で同様の高リスククローンが持ち込まれる可能性があるかもしれない。その場合は全ゲノム解析を用いた迅速な系統同定と伝播経路の追跡が不可欠であろう。

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