英国において医療従事者の感染予防・制御に関する知識、態度および実践に COVID-19 が及ぼした影響についての混合法によるシステマティックレビュー

2026.01.10

A mixed methods systematic review on the impact of COVID-19 on healthcare workers’ knowledge, attitudes and practices of infection prevention and control in the UK

F.E. Taylor*, H. Guo, T. Patel, F. Burns
*University College London Hospitals NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2026) 167, 124-136

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、英国において依然として医療関連感染症の原因となっている。感染予防・制御(IPC)ガイドラインが、今後のアウトブレイク予防および感染症の発生に対する準備の改善のために、遵守されているかどうかを理解することは重要である。混合法による本システマティックレビューは、英国の医療従事者における COVID-19を対象とした IPC に関する知識、態度および実践について調べることを目的とした。2023 年 4 月から 2024 年 7 月の期間について行ったデータベース検索から、適格な論文 24 報(定量的研究 12 報、定性的研究 8 報、混合法 4 報)が特定された。収束的統合アプローチを用いて定性的な統合を行った。研究対象は医師が最も多く、次いで看護師、薬剤師であった。報告された IPC 方策で最も多かったのは個人防護具(PPE)であった。知識に関しては、知識が中等度から貧しいと報告されたのは、正しいエアロゾル発生手技(範囲 33 ~ 35%)および PPE の着脱手順(範囲 3 ~ 82%)であった。集中治療室のスタッフおよび医師は、他の環境や医療従事者よりも優れた知識を有している傾向があった。態度に関しては、PPE および訪問者の制限は負担をもたらし、一部の医療従事者は自身の医療環境に関するガイダンスがないと考えていた。そして実践に関しては、本レビューから、医療従事者はどのような PPE を装着すべきかリスク評価を行っていることが分かった。患者に症状がある場合、推奨されているよりも PPE 装着の遵守率が高かった。しかし医療従事者は、PPE が効果的なコミュニケーションを妨げる、あるいは患者の安全にとってリスクがあると考えた場合、PPE を外していた。IPC ガイダンスの背景にあるエビデンスについてのより明確なコミュニケーションと、それぞれの環境に応じたガイダンスは、医療従事者の知識、態度および実践を改善し、したがって医療関連感染症を減少させる可能性がある。今後の研究によって、PPE 以外の他の IPC に関する知識、態度および実践を明らかにすべきである。非医療従事者も、患者と対面するスタッフの大きな割合を占めていることから、研究対象に含めるべきである。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

英国の医療従事者を対象とした本レビューは、感染対策における知識、態度、実践の乖離を浮き彫りにした。特にエアロゾル発生手技や防護具着脱の知識は不十分で、職種・部署間の格差も顕著である。心理的負担や意思疎通の阻害が遵守率を低下させる一方、独自判断による過剰装備も確認された。画一的指針は形骸化を招くため、今後はエビデンスに基づき各現場に即した簡潔な教育と、非医療従事者を含む包括的支援体制の構築が急務である。

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