中東および北アフリカ地域における検査室感染:報告症例とバイオセーフティーのギャップに関するシステマティックレビュー
Laboratory-acquired infections in the Middle East and North Africa region: a systematic review of reported cases and biosafety gaps M.M. Ayoub*, F.D. Retnowati, A. Maliha, R. Anjum, M. Abu-Madi, A.M. Abdallah *Qatar University, Qatar Journal of Hospital Infection (2025) 166, 54-62
背景
検査室感染は、検査室スタッフにとって職業関連の重大な健康リスクである。検査室スタッフは、その作業の中で取り扱う様々な病原体、例えば細菌、真菌、ウイルスおよび寄生虫などに感染する可能性がある。中東および北アフリカ地域における検査室感染に関するデータは少ない。
目的
中東および北アフリカ地域において報告された検査室感染についてシステマティックレビューを実施して、バイオセーフティー対策におけるギャップを同定すること、またこのギャップの原因として最も高頻度に認められる感染性微生物を同定すること。
方法
PubMed、Scopus、Laboratory-Acquired Infection(LAI)、および Belgian Biosafety Server の各データベースで、その開設から 2024 年 10 月までについて、PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)ガイドラインの基準に従って、中東および北アフリカ地域における検査室感染のすべての報告および症例を検索した。系統的な戦略を用いて、組み入れ基準は、中東および北アフリカ地域の検査室スタッフにおける症例を報告した意味のある研究とした。検査室外の症例または研究、ならびにデータが不十分なものは除外した。報告された症例を、感染症の種類、リスク因子および検査業務ごとに分析した。
結果
研究 2,062 件中、エジプト、サウジアラビア、トルコおよびアラブ首長国連邦からの 12 報(症例 24 例)を組み入れに適格とした。中東および北アフリカ地域において 1968 年から 2016 年の間に検査室感染 24 例が報告された。ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)は、最も高頻度に報告された病原体で、症例の 66.7%で報告されており、このことは同地域の微生物検査室における特異的な職業リスクを浮き彫りにしている。本レビューではまた、データ報告におけるギャップ、検査室におけるバイオセーフティー業務のばらつき、ならびに過少報告の傾向が同定された。
結論
本レビューから、中東および北アフリカ地域における検査室感染による職業関連の健康リスクである、ブルセラ属菌(Brucella spp.)が報告症例における主要な病原体であることが浮き彫りにされ、またバイオセーフティー業務におけるギャップが同定されている。
監訳者コメント:
中東および北アフリカ地域における検査室感染ではブルセラ属菌が主要な病原体である。これは同菌の地域的な蔓延と検査室における診断法に関連している。ブルセラ菌は空気感染する可能性があり、特に培養検査が開放系で扱われる場合にリスクが高いとされている。
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