都市部のセーフティネット病院におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の院内伝播率についてのベイズ推定

2025.11.24

Bayesian inference of nosocomial meticillin-resistant Staphylococcus aureus transmission rates in an urban safety-net hospital

K. Corkran*, M. Bani-Yaghoub , G. Sutkin, A. Arjmand, S. Paschal
*University of Missouri, USA

Journal of Hospital Infection (2025) 165, 163-170

背景

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus;MRSA)は、医療現場における効果的な治療と感染制御に対して重大な課題を提起している。最近の研究ではセーフティネット病院で治療を受ける医療関連(HA)-MRSA の発生率が他の医療機関と比較して高いことが示唆されている。

目的

ベイズ推定を用いて米国中西部のセーフティネット病院における看護単位間のHA-MRSA伝播パターンを調査すること。

方法

2019 年から 2023 年までのサーベイランスデータを用いて、コンパートメント疾患モデルを構築し妥当性を検討した。MRSA 伝播率、隔離率、退院率の事後確率分布を、遅延棄却適応的メトロポリス(DRAM)ベイズアルゴリズムを用いて計算した。

結果

187,040 件の患者記録の分析により研究対象の 5 年間のうち 3 年間において、入院患者病棟が最も高い MRSA 伝播率を示したことが明らかとなった。特に顕著な伝播率は特定の入院患者病棟およびプログレッシブケア病棟(0.55/例/月、0.018/例/日)および外科集中治療室(ICU)(0.44/例/月、0.015/例/日)で観察された。対照的に、新生児 ICU と内科 ICU は最も低い伝播率を示した。2021年には全病棟で MRSA 伝播率が有意に低下したが、その後の数年間でパンデミック前のレベルまで回復した。注目すべきことに 2019 年以降MRSA アウトブレイクを経験していなかった ICU やプログレッシブケア病棟などの病棟でアウトブレイクが発生した。

結論

MRSA 伝播はパンデミックの初期段階で有意に減少したが、その後の数年間でセーフティネット病院内で再出現した。

(監訳者注)

※セーフティネット病院:無保険者やメディケイド受給者など、社会経済的に脆弱な患者層に多くの医療を提供する病院

※遅延棄却適応的メトロポリス(DRAM):統計学的推定手法の一種

※プログレッシブケア病棟:ICU と一般病棟の中間的な医療を提供する病棟(中間ケア病棟)

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

特になし

同カテゴリの記事

2015.03.30

Norovirus introduction routes into nursing homes and risk factors for spread: a systematic review and meta-analysis of observational studies

2019.03.12

Whole-genome sequencing in the investigation of recurrent invasive group A streptococcus outbreaks in a maternity unit

2015.11.30

Risk of organism acquisition from prior room occupants: a systematic review and meta-analysis

2018.10.19

Evaluation of ozonated water using ASTM E1174 for standardized testing of handwash formulations for healthcare personnel

2025.10.05
Risk factors of surgical site infection in liver transplantation recipients: a systematic review and meta-analysis

S. Jin*, X. Wei, X. Wang, W. Zhang, C. Wang, Y. Kang, Y. Sun, W. Yang, B. Wang
*Nankai University, Tianjin 300380, China

Journal of Hospital Infection (2025) 164, 34-42