肝移植レシピエントにおける手術部位感染症のリスク因子:システマティックレビューおよびメタアナリシス
Risk factors of surgical site infection in liver transplantation recipients: a systematic review and meta-analysis S. Jin*, X. Wei, X. Wang, W. Zhang, C. Wang, Y. Kang, Y. Sun, W. Yang, B. Wang *Nankai University, Tianjin 300380, China Journal of Hospital Infection (2025) 164, 34-42
手術部位感染症(SSI)は、臓器移植後によくみられる重大な合併症であり、肝移植は特に感染率が高くなりやすい。よくみられるにもかかわらず、肝移植後の SSI に関連する主要リスク因子についてエビデンスを統合した系統的なメタアナリシスはない。本研究では、PubMed、Embase、Web of Science および Cochrane Database から検索した研究を対象に、システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。2025 年 4 月までの適格な論文を検索した。スクリーニングした 8,593 報のうち、18 報を組み入れた。このメタアナリシスには R 4.1.3 ソフトウェアを用いた。肝移植レシピエント 9,874 例および報告された感染事象 1,619 件のデータを含む、18 件の研究を組み入れた。本研究の解析では、SSI リスクの上昇に関連する肝移植の特異的な因子として、ルーワイ吻合(オッズ比[OR]2.61、95%信頼区間[CI]1.95 ~ 3.26、I2 = 43.37%)および移植片対レシピエント重量比(GRWR)0.01 未満(OR 2.19、95%CI 1.54 ~ 2.84、I2 = 0%)の 2 つが特定された。さらに、再移植、術前の血液透析、胆管合併症および過去の手術歴が、有意なリスク因子となる。メタアナリシスでは、検討した研究全体での SSI の全発生率は 21%であった。SSI の深刻な影響を考えると、肝移植後の SSI 発生率を低下させるためには、これらのリスク因子に関する認識を高め、対象を絞った予防戦略を実施することを、臨床医にとっての優先事項にすべきである。
監訳者コメント:
肝移植(LT)後の SSI 発生率が21%と高率であることを示したメタ分析。リスク因子として Roux-en-Y 吻合(OR 2.61)や術前透析、再移植などが同定された。特に Roux-en-Y 吻合は、手技の複雑さに加え腸管内腔と胆管の交通による細菌移行の経路となり得るため、リスク上昇は理解しやすい。徹底的な予防戦略の実施が重要である一方で、ハイリスク患者群に対しては、標準的なセファゾリン(CEZ)による予防投与(SAP)ではカバーしきれず、より広域な抗菌薬の選択を考慮すべきと提案されている。
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