カルバペネム耐性プロビデンシア属菌:脅威がやってきた★★
Carbapenem-resistant Providencia spp.: the threat at the door O. Ozalp*, B. Ortakci, S. Komec, O. Gokce, E. Alp, O.A. Aydin *University of Health Sciences, Turkey Journal of Hospital Infection (2025) 163, 51-55
背景
プロビデンシア属菌(Providencia spp.)は最近注目されている日和見病原体で、とりわけ免疫不全患者や長期入院患者における院内感染症と関連付けられている。カルバペネム耐性プロビデンシア属菌(Providencia spp.)の検出率の上昇は、治療選択肢が限られていることから、大きな医療上の課題となっている。
目的
カルバペネム耐性およびカルバペネム感受性プロビデンシア属菌(Providencia spp.)による感染症の臨床特性、リスク因子、ならびに患者転帰について評価すること。
方法
2020 年 1 月 1日 から 2024 年 1 月 1 日に、プロビデンシア属菌(Providencia spp.)分離株が認められた入院患者を対象として、後向き観察研究を実施した。患者を、カルバペネム感受性に基づいて層別化した。臨床データ、リスク因子、および死亡率を、カルバペネム耐性菌症例とカルバペネム感受性菌症例について比較した。統計学的解析を実施して、カルバペネム耐性の独立リスク因子を同定した。
結果
プロビデンシア属菌(Providencia spp.)による感染症 118 件中 53 件(44.9%)がカルバペネム耐性菌によるものであった。プロビデンシア・レットゲリ(P. rettgeri)が最も優勢な菌種で(67.8%)、プロビデンシア・スチュアーティイ(P. stuartii)よりもカルバペネム耐性の検出率が有意に高かった(P = 0.003)。カルバペネム耐性菌による感染症で最も多かったのは尿路感染症(58.5%)であった一方、カルバペネム感受性菌による感染症でより多かったのは皮膚および軟部組織感染症(40.0%)であった(P < 0.001)。カルバペネム耐性菌症例では、入院期間の延長、集中治療室入院の延長、およびより高い死亡率が認められた(P < 0.05)。カルバペネム耐性のリスク因子は、過去の集中治療室入室、機械的換気、尿道カテーテル留置および過去のカルバペネム使用などであった。
結論
カルバペネム耐性プロビデンシア属菌(Providencia spp.)による感染症は、病的状態および死亡の増加と関連する。治療選択肢が限られているため、感染制御策および抗菌薬適正使用支援プログラムを強化すべきである。耐性メカニズムの特性および至適治療戦略を明らかにするため、さらなる大規模研究が必要である。
監訳者コメント:
プロビデンシア属は、グラム陰性桿菌で、P. rettgeri と P. stuartii が主たる臨床分離株で、院内感染としては尿路感染症が多く、時に肺炎、髄膜炎、心内膜炎、血流感染症などの重症感染症を引き起こす。日和見感染症であり、特に免疫不全、ICU 入室、侵襲性デバイス挿入などの患者で発症しやすい。もともと第一世代セフェムやアンピシリン、アミノグリコシド、さらにコリスチンやチゲサイクリンに自然耐性であり、誘導性 AmpC のβラクタマーゼを産生することもある。一方で NDM や OXA 型のメタロβラクタマーゼ産生株や、ポーリン欠損株の出現により、カルバペネム耐性株が増加している。日本でも 2002 年に IMP 型が、それ以後も NDM 型、VIM 型の CRE が報告されており、注意が必要である。
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