人工関節周囲感染の治療の指針となる臨床予測モデル:システマティックレビューおよびメタアナリシス
Clinical prediction models to guide treatment of periprosthetic joint infections: a systematic review and meta-analysis E. Naufal*, C. Shadbolt, M. Wouthuyzen-Bakker, S. Rele, S. Sahebjada, S. Thuraisingam, S. Babazadeh, P.F. Choong, M.M. Dowsey *St Vincent’s Hospital Melbourne, Australia Journal of Hospital Infection (2025) 162, 53-61
背景
人工関節周囲感染(periprosthetic joint infections、以下 PJI と略す)の治療に関する決定を導くことを目的とする臨床予測モデルがいくつか開発されている。一部のモデルは実臨床での使用が推奨されているが、それらの適合性はまだ不明である。
方法
本研究では、PJI の治療に関するすべての多変数予測モデルを系統的に検討し、批判的に評価した。MEDLINE、EMBASE、Web of Science および Google Scholar において、開始から 2024 年 3 月 1 日までの検索を行い、PJI の転帰を予測するモデルを開発または検証した研究を組み入れた。PROBAST(Prediction model Risk Of Bias ASsessment Tool)を用いて、バイアスのリスクおよび適用性を評価した。モデル性能推定値を、変量効果メタアナリシスによって統合した。
結果
13種類の予測モデルと 7 件の外的妥当性検証が特定された。すべての研究に方法論的な問題が認められた。統合推定値から、KLIC(腎臓、肝臓、インデックス手術、セメント固定された人工関節、C反応性蛋白)スコアが、かなりの識別能を有することがわかった(統合 c 統計量 0.62、95%CI 0.55 ~ 0.69)。τ2(0.02)および I2(33.4)の両推定値から、研究間の不均一性はわずかであることが示された。メタアナリシスにより、Shohat らのモデルが良好な識別能を有することが示された(統合 c 統計量 0.74、95%CI 0.57 ~ 0.85)。τ2(0.0)および I2(0.0)の両方から、研究間の不均一性はわずかであることが示された。
結論
臨床医は、PJI の転帰を予測するために利用可能なモデルについて、その開発に使用された方法の限界を認識しておくべきである。外的妥当性検証研究において一貫して十分な性能を示したモデルはないことから、利用可能なモデルが、臨床意思決定の指針として用いられた場合に、信頼度の高い情報を提供するかどうかは依然として不明である。
監訳者コメント:
人工関節周囲感染(PJI)の治療に関する決定を導くことを目的とする臨床予測モデルは様々な試みがなされているが、どれが望ましいかは今後の研究に期待したい。
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