脳室ドレナージの使用に関連した感染症のリスク因子:メタアナリシスによるシステマティックレビュー

2025.08.14

Risk factors for infection associated with the use of external ventricular drainage: a systematic review with meta-analysis

A.Y.T. de Andrade*, A.R.B. Canicoba, R.A. Oliveira, J.R. Gnatta, V. de Brito Poveda
*University of São Paulo, Brazil

Journal of Hospital Infection (2025) 162, 368-376

脳神経外科における脳室ドレナージ(EVD)カテーテルの使用に関連した感染症は、高い罹患率および死亡率につながり、様々な機構がその発生に関連している。このメタアナリシスによるシステマティックレビューは、灰色文献およびインデックス付きのデータベースを用いて、EVD 関連感染症に関連するリスク因子を要約し、更新することを目的とした。30 件の研究を対象とし、そのうち 9 件をメタアナリシスに組み入れた。報告された EVD 関連感染症の頻度は 1.9%から 36%まで幅があり、感染症の診断基準は標準化されていなかったが、培養陽性であることが最も多く用いられていた。同定された主な微生物は、ブドウ球菌(Staphylococcus)属菌およびシュードモナス(Pseudomonas)属菌であった。主なリスク因子は、カテーテル留置期間、維持管理の頻度、再挿入、ドレーンの数などであった。メタアナリシスの結果から、EVD を長期間使用している患者における有意な影響が示され、リスクは使用 1日あたり 1.47(オッズ比)(95%信頼区間[CI]1.03 ~ 2.10)に増加した(P = 0.03)。また、脳脊髄液採取回数は感染群の方が多く(P = 0.00)、使用した EVD の数が多いことは、感染率への有意な影響に関連する(P = 0.00)ことが示され、これは不均一性の低い(I2 0%)研究で明らかにされた。結果から、不均一性が高く、エビデンスの質が低い研究において、EVD の維持または管理に関連するリスク因子が特定されたことがわかった。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

Staphylococcus 属菌および Pseudomonas 属菌が脳室ドレナージのカテーテルの使用に関連した感染症の原因菌としてあげられている。主なリスク因子として、カテーテル留置期間、維持管理の頻度、再挿入、ドレーンの数などが挙げられている。

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