キャノピー:病室における空気中の病原菌拡散を抑制するためのセラミック製壁流フィルターを備えた新しい鉛直気流装置

2025.08.02

The canopy: a novel vertical airflow device with ceramic wall flow filters for reducing airborne pathogen spread in hospital rooms

M. Sousa de Almeida*, A. Mayer, J. Frey, C. Lämmle, A. Petri-Fink, B. Rothen-Rutishauser, H. Burtscher
* University of Fribourg, Switzerland

Journal of Hospital Infection (2025) 162, 339-350

背景

感染症のエアロゾル伝播は、隔離室が限られている病院やケア施設で特に懸念されており、過去には新型コロナウイルス感染症パンデミック時などのキャパシティー危機をもたらしている。

目的

病院環境における空気中の病原菌拡散を抑制するために設計された、セラミック製壁流フィルターを備えた新しい鉛直気流システムであるキャノピーシステムを紹介する。このシステムは、患者の上方の呼気を捕捉し、セラミック製フィルターで濾過し、ベッドの下に清浄な空気を放出する。

方法

狭い部屋(15 m2)と広い部屋(36 m2)を用いて、管理された環境下での実験を実施した。ネブライザーで噴霧した塩粒子、ネブライザーで噴霧した MS2 バクテリオファージおよびベッドで睡眠中の成人が吐き出した細菌を用いて濾過効率を評価した。複合的な効果を評価するため、病院のカーテンと組み合わせたときのシステムの性能をさらに試験した。

結果

濾過効率は、ネブライザーで噴霧した塩粒子で 95%、ネブライザーで噴霧した MS2 バクテリオファージで 87%、ベッドで睡眠中の成人が吐き出した細菌で 92%に達した。病院のカーテンのみではエアロゾル拡散の抑制はわずかであったが、鉛直気流システムと同時に使用すると、その性能が向上した。

結論

これらの結果から、キャノピーシステムはエアロゾル濃度を低下させることにより、院内感染を抑制できる可能性が確認された。鉛直気流と堅牢な濾過技術の革新的な組み合わせは、病院において空気の質を改善し、患者と医療従事者を保護する実用的なソリューションを提供する。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

患者ベッド単位での局所的感染制御を可能する手段として興味深い。

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