硝子体内注射の実施におけるモバイル式層流換気デバイスの安全性アウトカム:3 年間の後向き研究

2025.05.16

Safety outcomes of a mobile laminar airflow device to perform intravitreal injections: a 3-year retrospective study

M.M. Carlà*, A. Scampoli, L. Governatori, G. Grieco, R. Catalani, W. Calcatelli, T. Caporossi
*Catholic University ‘Sacro Cuore’, Italy

Journal of Hospital Infection (2025) 159, 88-91

背景

硝子体内注射の実施に対する需要の増大を受けて、従来の手術室での実施に対する効果的かつ安全な代替法を探索する必要が生じている。モバイル式層流換気デバイスの使用は、手術室外での硝子体内注射のために無菌環境を作り出すためのソリューションとなる可能性が注目されている。本研究では、手術室外での硝子体内注射の実施における Operio(オペリオ)モバイル式層流換気デバイスの安全性アウトカムを検討した。

方法

本後向き研究には、2021 年 1 月から 2024 年 12 月にイタリア・ローマにある Ospedale Fatebenefratelli Isola Tiberina – Gemelli Isola にて、合計 6,638 件の硝子体内注射を受けた患者 1,420 例を組み入れた。Operio モバイル式層流換気デバイスを手術台の横に設置し、手術野に直接気流を吹きつけた。標準化したプロトコールに従って、患者の術前処置、麻酔、硝子体内注射実施、および注射後処置を行った。主要アウトカムは眼内炎の発生率とした。

結果

抗血管内皮増殖因子製剤が全硝子体内注射の 96%(6,638 件中 6,369 件)を占めた。硝子体内注射の残りの 4%(6,638 件中 269 件)はコルチコステロイド製剤であった。本研究期間中に実施された硝子体内注射 6,638 件のうち、ベバシズマブ(Mvasi)を用いた硝子体内注射 1 件の後に眼内炎 1 件が認められ、発生率は 0.015%であった。その他の合併症、たとえば結膜下出血(386 眼)および一過性眼圧上昇(57 眼)などは、Operio モバイル式層流換気デバイスの使用とは関係付けられなかった。

結論

ポータブル式の層流換気デバイス、例えば Operio モバイル式層流換気デバイスを用いた、手術室外での硝子体内注射は、従来の手術室での実施に対する安全かつ効果的な代替法である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

本研究のアウトカムである眼内炎の発生率の低さからはモバイル式層流換気デバイスを使用することにより手術室外でも安全に硝子体内注射が行えることを示唆している。

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