病院の排水管からの基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ産生菌:分離、特徴、一般的な消毒薬を使ったバイオフィルムの制御★
Extended-spectrum β-lactamase-producing bacteria from hospital wastewater pipes: isolation, characterization and biofilm control using common disinfectants J. Wu*, T.P. Thompson, N.H. O’Connell, K. McCracken, J. Powell, B.F. Gilmore, C.P. Dunne, S.A. Kelly *Queen’s University Belfast, Belfast, UK Journal of Hospital Infection (2025) 156, 34-49
背景
病院の排水システムは抗菌薬耐性菌のリザーバと特定されてきた。基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ(ESBL)産生微生物の住みかとなるバイオフィルムが、かなりの感染リスクをもたらしている。
目的
ESBL 産生菌が引き起こした流行性の感染症のアウトブレイクを経験したことがあったアイルランドの 3 次医療教育病院の排水管からの ESBL 産生菌の抗菌薬感受性とバイオフィルムの制御について調べること。
方法
ESBL 産生菌を選択寒天培地で分離した後、これらの細菌がバイオフィルムを形成する能力について評価したいくつかの抗菌薬について、抗菌薬感受性プロファイルを明らかにした。選択した分離株について、バイオフィルム根絶試験を、市販の漂白剤、OptizanTM、VirkonTM、ClinellTMを使って実施した。
結果
ESBL 産生菌(N = 39の分離株)は、β-ラクタムに対して高度な耐性を示した。バイオフィルム形成能は、付着しないから強く付着するまでの範囲であり、出所に依存するように見えた。これは、管の環境の特徴がバイオフィルムの形成に重要な役割を果たしたことを示唆している。推奨される使用条件では、すべての消毒薬が、バイオフィルムの根絶に有効であった。有効性は、濃度と接触時間を減らすと、有意に減少した。試したすべての濃度と接触時間で、すべての分離株のバイオフィルムを有意に減少させたのは、ClinellTM のみであった。塩素主体の製剤のうち、OptizanTM は、濃度が低く処理時間が短いときに、しばしば、漂白剤より優れていた。バイオフィルムの根絶は、株に依存し、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)の様々な分離株のバイオフィルムでは、観察された消毒薬への反応のプロファイルが様々であった。
結論
この研究は、病院で患者が使う排水装置からESBL 産生菌が高頻度で回収されることをはっきりと示している。これらの細菌がバイオフィルムを形成しそこにとどまり、感染のリザーバとして機能する可能性があるので、厳格で有効な感染制御を実践することが明らかに必要である。
監訳者コメント :
病院の排水システムは薬剤耐性菌の温床となることは良く知られているが、これが院内感染の原因になることがある。特にバイオフィルム形成は消毒剤への抵抗性があり容易に除去することは困難である。また、本研究で薬剤耐性の程度とバイオフィルム形成能との関連はなさそうであり、配管の形状、水流の速度と使用頻度などの要因が、特定の配管内でバイオフィルムを形成するために強い付着特性を決定している可能性が示唆されている。排水システムのバイオフィルム形成性の耐性菌への有効な対策を考えるためにさらなる研究が必要である。
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