ベルギーの 3 次医療機関の集中治療室における過酢酸ベースのシンク排水管消毒薬の評価★★
Evaluation of a peracetic-acid-based sink drain disinfectant on the intensive care unit of a tertiary care centre in Belgium R. Vanstokstraeten*, B. Gordts, N. Verbraeken, L. Blommaert, M. Moretti, D. De Geyter, I. Wybo *Vrije Universiteit Brussel (VUB), Universitair Ziekenhuis Brussel (UZ Brussel), Belgium Journal of Hospital Infection (2024) 154, 45-52
背景
病院内のシンクの排水管は、細菌のリザーバーであることがよく知られており、浮遊微生物とバイオフィルムの両方をサイホン内にとどまらせる。過酢酸ベースの消毒薬は、非腐食性であり、かつバイオフィルムと浮遊微生物の除去に有効であることから、シンク排水管の汚染除去のための解決策となる可能性がある。
目的
UZ Brussel の集中治療室(ICU)において、過酢酸ベースの消毒薬である Clinell Drain Disinfectant の有効性を評価した。
方法
高度に汚染されていることが判明した ICU サブユニットの 1 つにおいて、シンク 10 カ所すべてを 1 か月間 Clinell Drain Disinfectant で処置した。処置期間を通して、WASPLab システムで検体の処理および培養を行い、さまざまな選択的寒天平板で P トラップ内の細菌増殖を定性的(eSwab を使用)および定量的(滅菌カテーテルおよびシリンジを使用)に系統的にモニタリングした。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いて、すべての形態的に異なるコロニーを同定した。
結果
ベースライン時に、シンク排水管のほとんどに高濃度の多剤耐性微生物が定着しており、主に VIM 産生緑膿菌(Pseudomonas. aeruginosa)であった。汚染除去の直後に採取された培養は陰性であり、例外はごく少数であった。しかし、排水系の上部のバイオフィルムは影響を受けないままであることが観察され、2 日以内に、バイオフィルムは P トラップ内の液体に 100,000 cfu/mLを超える濃度で再定着する能力を示した。1 か月後、この消毒プロトコルでは、シンク排水管の持続的な汚染除去が得られなかった。
結論
本研究では、P トラップの液体の汚染除去における消毒薬の有効性が示された。
監訳者コメント:
薬剤耐性菌のシンクの排水管での定着は、施設内感染のリザーバーとして耐性菌の供給源となるため、除菌できることが望ましい。過酢酸系消毒剤の効果は一時的ではあるものの耐性菌の増殖を抑えることが判明した。臨床現場での消毒効果は製造元の主張ほど高くない可能性があり、特に排水システムの上部や深部のバイオフィルム対策が課題である。効果的な感染対策には、これらへの消毒だけでなく、排水システム設計などの総合的なアプローチが必要であり、排水管への薬剤耐性菌の定着阻止にはさらなる知見の集積が必要である。
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