再利用可能な手術用キャップは、カーボンフットプリントの削減をもたらし、手術部位感染症に関して使い捨て可能なものと同等である:システマティックレビューおよびメタアナリシス

2024.10.31

Reusable surgical headwear has a reduced carbon footprint and matches disposables regarding surgical site infection: a systematic review and meta-analysis

A. Gumera*, M. Mil, L. Hains, S-R. Fanshaw, B. Dunne
*The University of Melbourne, Australia

Journal of Hospital Infection (2024) 152, 164-172

手術用キャップは無菌性を維持するようデザインされており、微生物汚染を防止する。とはいえ、医療産業の環境への影響から、持続可能な代替品を開発する義務が生じる。本稿では、再利用可能な手術用キャップの環境への影響および安全性を探求することを目的とした。2023 年 12 月 10 日までの MEDLINE、Embase、Scopus、Google Scholar、PubMed、the Cochrane Library を用いてシステマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。ROBINS-I ツールによって研究の適合性とバイアスリスクを調査し、Review Manager Version 5.4 を用いて、結果をオッズ比(OR)および 95%信頼区間(CI)について集約し、不均一性を I2 により評価した。システマティックレビューでは 9 報の研究、メタアナリシスでは 6 報の研究を対象とし、手術症例 45,708 例が含まれた。再利用可能群と使い捨て可能群において、手術部位感染症(SSI)発生率に有意差は認められなかった(OR 0.79、95%CI 0.59 ~ 1.07、P = 0.13)。方針の実行は SSI 発生率に影響しなかった(OR 1.21、95%CI 0.85 ~ 1.73、P = 0.30)。再利用可能な手術用キャップは、使い捨て可能な代替品よりも、カーボンフットプリント(P < 0.001)、オゾン層破壊(P < 0.005)、化石燃料の消耗(P < 0.005)、陸域の酸性化(P < 0.005)、微粒子物質生成(P < 0.005)が有意に少ないことが確認された。SSI 発生率に関して、再利用可能な手術用キャップは、使い捨て可能な代替品と同等であり、環境問題における効果をもたらす。これらの結果は、医療において再利用可能な代替品への移行を支持するもので、患者の安全性と環境保護の責任を果たすことになる。再利用可能な代替品を採用することで、医療システムはプラネタリーヘルスに積極的に貢献でき、それによって現代の医療環境における持続可能な実践の重要な役割が強調される。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

この論文では、再利用可能な手術用帽子が使い捨てのものに比べて環境負荷を大幅に削減でき、手術部位感染(SSI)においても有意な差がないことが示されている。医療現場でも、持続可能な医療への取り組みが重要であり、特に手術環境での再利用可能な製品の導入は、環境負荷の軽減に寄与する。また、再利用可能な製品は長期的な経済的利益も期待でき、医療の質を維持しながら持続可能性を追求する重要な手段であると考えられる。一律なルール設定から一歩前進し、個別にその科学的根拠を考えて判断することが重要になっていくだろう。

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