プラスチックの耐化学性試験:洗浄製剤および消毒製剤の材質適合性

2024.07.31

Chemical resistance testing of plastics: material compatibility of detergent and disinfectant products

J. Jennings*, D.E. James, K.D. Waresa, A. Campbell-Train, H. Siani
*GAMA Healthcare Ltd, UK

Journal of Hospital Infection (2024) 149, 172-181


背景

表面の洗浄および消毒は、医療関連感染症の伝播の鎖を断ち、感染症リスクを低減する取り組みの重要な部分を成す。しかし、洗浄製剤および消毒製剤が表面の材質に適合していなければ、その頻繁な使用は環境応力亀裂によるプラスチックの早期破断の原因となり得る。洗浄製剤および消毒製剤の選択時には、材質適合性を考慮すべきである。

目的

本研究では、2 in 1 ウェットワイプについて、医療環境で一般的に用いられているプラスチックにおいて環境応力亀裂を引き起こす傾向の評価を行った。

方法

すぐに使える状態の2 in 1 ウェットワイプ 8 個について、プラスチック表面 13 個において環境応力亀裂を引き起こす能力を、BS EN ISO-22088-3 に従って評価した。ワイプから抽出した液体にポリマーを、固定加重 0.5%で7日間にわたり曝露させ、視認できる破断として亀裂、ひび割れ、ならびにISO 527-2:2012 に従って引張強度を評価した。

結果

試験対象としたすべての 2 in 1 ウェットワイプに、環境応力亀裂を引き起こす成分が含まれていたが、環境応力亀裂の程度にはばらつきがみられた。高い pH(>8.0)を示す製剤が表面破断の 74% の原因であり、試験対象としたプラスチック 39 個中 22 個が視認できる亀裂であった。検査対象としたすべてのワイプ製剤の主要活性成分は四級アンモニウム化合物であり、小/中アミンまたはアルコールを含有する製剤はプラスチックに亀裂をもたらす傾向が大きかった。

結論

各消毒製剤は、それぞれ特有の対微生物活性プロファイルと、表面ダメージを引き起こす特有の能力を示した。このことは結果として、デバイス破断と製品リコールをもたらす可能性があり、これにより患者およびスタッフの安全が損なわれる可能性がある。BS EN ISO-22088-3 は、消毒製剤および洗浄製剤の上市前における材質適合性評価を支援することができる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

特になし

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