消毒薬の有効性に対する PVC (ポリ塩化ビニル)表面の人工加速劣化および表面分解の影響

2024.07.31

Impact of artificial accelerated ageing of PVC surfaces and surface degradation on disinfectant efficacy

R. Wesgate*, K. Bentley, R. Stanton, R. Maddalena, C. Khosravi, P. Teska, K. Duggan, J-Y. Maillard
*Cardiff University, UK

Journal of Hospital Infection (2024) 149, 1-13


背景

消毒薬の標準化された有効性表面試験は、汚れがない表面で実施される。表面の汚染除去を目的とした紫外線(UV)照射や酸化的化学反応の使用が増加していることなどから、表面の経年劣化が消毒薬の活性に及ぼす影響を理解することへの関心が高まっている。UV 照射後および酸化殺生物剤曝露後の一般表面の「摩耗」は、殺生物製剤の有効性に影響を及ぼす可能性があることがわかっている。

方法

自然表面分解をシミュレートした標準的な表面劣化手順に従って、熱放射および UV-A 照射(波長 340 nm)により PVC 表面を劣化させた。表面の粗さ、接触角、走査型電子顕微鏡により、PVC 表面の人工劣化前後の物理的変化を評価した。消毒薬を予め含浸したワイプ 5 種類の有効性を、ステンレス鋼(対照)および PVC 表面(劣化あり、劣化なし)で ASTM E2967-15 を用いて評価した。

結果

製剤の種類および被検微生物がやはり、表面の種類よりも、消毒薬有効性に影響を及ぼす最も重要な因子であった。PVC 表面の熱劣化および UV-A 曝露のいずれでも、表面分解の兆候が明らかに認められ、特に表面の粗さが増加した。人工劣化後、PVC の粗さに物理的変化が認められた。劣化した PVC 表面に依存する消毒薬有効性の違いは、一部の製剤で認められたが、すべての製剤で認められたわけではなかった。

結論

本研究では、表面の種類および表面の劣化は、殺生物製剤の有効性に影響を及ぼしうるが、その影響は予測不可能な形で生じることが示された。表面の種類および劣化した表面を、標準化有効性試験に用いるべきかどうかを確かめるために、この分野においてさらなる研究が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

実生活では環境や物品の表面は様々に劣化・変化しており、消毒薬の有効性に予期せぬ影響を与える。採用する消毒薬の選択にあたっては、理想環境における実験データだけを鵜呑みにするのではなく、様々な要素・要因をバランス良く検討する必要がある。

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