EC-COMPASS:エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)複合体の長期多施設共同サーベイランス ― 臨床的展望★

2024.06.30

The EC-COMPASS: Long-term, multi-centre surveillance of Enterobacter cloacae complex – a clinical perspective

M.D. Mauritz*, B. Claus, J. Forster, M. Petzold, S. Schneitler, A. Halfmann, S. Hauswaldt, D. Nurjadi, N. Toepfner
*Children’s and Adolescents’ Hospital, Germany

Journal of Hospital Infection (2024) 148, 11-19




背景

エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)複合体(ECCO)は、密接に関連する腸内細菌目細菌で構成され、軽症の尿路感染症から重症の血流感染症まで様々な感染症を引き起こす。ECCO は、特に新生児および成人集中治療室において、医療関連感染症の重大な原因となっている。

目的

Enterobacter Cloacae COMplex PASsive Surveillance(EC-COMPASS)は、ドイツの 3次ケア病院 4 施設で通常の微生物学的診断により検出された、ECCO の疫学および耐性パターンの多施設にわたる全体像を詳細に示すことを目的としている。

方法

ドイツの 3 次ケア病院 4 施設のセンチネルクラスターにおいて、2020 年 1 月 1 日から 2022年 12 月 31 日までのすべての培養陽性 ECCO の結果を、Hybase® 臨床検査データに基づき解析した。

結果

患者 14,311 例から得られた ECCO データセット 31,193 件の解析により、男性患者のほうが発症率が高いことが明らかになったが(P < 0.05)、ECCO 感染の表現型に有意差は認められなかった。ECCO が最も多く検出されたのは、スワブ(42.7%)、尿(17.5%)、呼吸器分泌物(16.1%)、血液培養(8.9%)および組織検体(5.6%)であった。年間の菌血症発症率は、病院あたり約 33 例で一定に保たれていた。侵襲性の ECCO 感染症は主に腫瘍科と集中治療室で認められた。院内アウトブレイクの発生はまれで、範囲が限定的であった。注目すべきことに、カルバペネム系薬に対する耐性率は一貫して低かった。

結論

EC-COMPASS は、ドイツの 3 次医療機関における ECCO 感染症について深い臨床的展望を提供しており、腫瘍科および集中治療室の高齢男性が特に ECCO 感染症を発症しやすいことを強調している。リスクがある患者を対象とした早期発見戦略によって、ECCO 感染症の管理が改善する可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

ECCO には、エンテロバクター属の 9 菌種が属し、E. cloacae、E. hormaecheri などが主に臨床的に分離される通性嫌気性グラム陰性菌である。これらの菌種は質量分析でも鑑別が困難であり、エンテロバクター・クロアカ・コンプレックスとして報告されている。ドイツの4 つの 3 次医療機関での ECCO の保菌および感染症についての後向き調査である。近年、カルバペネム耐性の ECCO が増加していることが世界的に懸念されているが、本調査でのカルバペネム耐性 ECCO は 0.6%と低く、引き続きカルバペネム系薬の温存のための適正使用が望まれる。ST 合剤やフルオロキノロン系薬では各約 5%、ゲンタシンは約 3%と、これらの薬剤への感受性は残されており第二選択または併用補助的な治療療法として考慮される。

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