アウトブレイクシミュレーション訓練の推進:2 つの専門を持つ医学研修生と感染予防・制御の専門家に対する共同パイロット研究

2024.05.31

Advancing outbreak simulation training: a collaborative pilot study for dual-specialty medical trainees and infection prevention and control professionals

A. King*, S. Cairns, L. Shepherd, J. Barrett, T. Inkster
*NHS Education for Scotland, UK

Journal of Hospital Infection (2024) 147, 68-76


背景

スコットランドの中での感染予防・制御(IPC)訓練において特定されたギャップに対応するために、Short Life Working Group は、革新的なアウトブレイクシミュレーション訓練プログラムを開始した。

目的

医微生物学と感染症の研修生と IPC の専門家が、National Infection Prevention and Control Manual ガイドラインを使って、医療関連感染(HAI)のアウトブレイクに対処する際の知識を増やし自信を強めること。

方法

参加者は、細部にまで気を配って作られたバンコマイシン耐性腸球菌のアウトブレイクのシミュレーションに参加する前に、必須である疫学とサーベイランスのオンラインでの訓練を修了した。このシミュレーションは、実臨床の出来事を反映していて、Association for Simulated Practice in Healthcare の設定した基準に従っていた。このプログラムは、Kolb の経験学習サイクルを組み込んでいて、信頼でき興味をそそる学習環境を育てるものであった。合計で 41 名が、オンラインで同時に行なう訓練段階に参加し、8 名がアウトブレイクのパイロットシミュレーションに参加した。訓練の有効性の評価は、カークパトリックモデルに従い、定量的なデータ収集法(5 段階の Likert 尺度)と定性的なデータ収集法(自由回答式質問と参加者の意見)を組み合わせた。

結果

結果は、アウトブレイクへの対処における参加者の知識、技能、自信が有意に改善したことを示した。フィードバックでは、シミュレーションの現実性と教育的価値が強調されていて、アウトブレイクへの対処能力を増強することにおける有効性について 100%の同意が得られていた。

結論

このパイロット研究の成功は、IPC においてシミュレーション訓練が持つ可能性をはっきりと示し、より広い実施への道を開いている。また、医療従事者が、複雑な HAI のアウトブレイクへの対処における実用的な技能や自信を身につけるのに、構造化された経験学習が有効であり、より能力の高い、アウトブレイクに対する準備のできた労働力を作り出すのに貢献することをはっきりと示している。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

医療関連感染(HAI)のアウトブレイクの対処で、シミュレーション訓練プログラムを用いて、高い教育効果がみられたという報告

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