新生児集中治療室でイソニアジド耐性先天性結核に曝露された新生児と医療従事者への対処★★
Management of newborns and healthcare workers exposed to isoniazid-resistant congenital tuberculosis in the neonatal intensive care unit S. Lee*, G. Kim, G-M. Park, J. Jeong, E. Jung, B.S. Lee, E. Jo, S. Lee, H. Yoon, K-W. Jo, S-H. Kim, J. Lee *University of Ulsan College of Medicine, South Korea Journal of Hospital Infection (2024) 147, 40-46
背景
新生児集中治療室(NICU)で先天性結核に曝露された新生児と医療従事者への対処が報告されたことはめったにない。
目的
NICU で先天性結核に曝露された人の接触調査の過程の概略を明らかにし、院内伝播を調べること。それに加えて、曝露された新生児に対する発症前の予防投与の有効性と安全性も評価すること。
方法
妊娠 28 + 1 週で生まれた乳児が、レベル 4 の NICU に入室して 39 日目に、イソニアジド耐性先天性結核と診断された。累積で 8 時間以上曝露された新生児と医療従事者は、接触調査をされ、1 年間追跡調査された。
結果
82 人の新生児が接触調査をされた。新生児の胸部 X 線は、全員が正常であった。入院した 42 人の新生児は、気管内の痰または胃液中の抗酸菌株の検査と Xpert® MTB/RIF 検査が陰性であった。80 人が発症前の予防投与を受けた。リファンピンの投与を受けた 75 人のうち 6 人は軽度の有害事象を経験した。レボフロキサシンの投与を受けた 5 人で有害事象を経験した者はいなかった。12 週間後、5 人(6.1%)がツベルクリン皮内反応検査陽性となったが、その全員がカルメット–ゲラン菌ワクチンを既に接種されていて、結核のインターフェロンγ放出測定法では陰性であった。曝露された 119 名の医療従事者のうち、3 名(2.5%)が結核の潜伏感染と診断され、4 か月間のリファンピン療法を完了した。曝露された新生児と医療従事者に、1 年間の追跡調査中、活動性の結核はなかった。
結論
先天性結核を適時に診断することは、NICU の環境で曝露された新生児や医療従事者の間での伝播を最小限に抑えるのに極めて重要である。発端患者がイソニアジド耐性の場合には、早産新生児でさえ、発症前予防投与にリファンピンやレボフロキサシンの使用を考慮してよい。
監訳者コメント:
小児結核診療の手引き(第 3 版、令和 3 年 3 月)では「妊娠末期に母が全身播種性結核に罹患した、或いは初感染後に不顕性血行散布があった場合などに、子宮内膜に結核結節が形成され、胎盤側に波及し、①菌が臍帯血中に入り込むことにより、或いは②菌が羊水中に散布され、胎児が吸引等をすることにより、胎児が子宮内で結核菌の感染を受け、出生後に発病する例もあり、先天性結核と呼ぶ。また出生後に感染し発病するものは新生児結核」とされており、症例としてはまれである。結核菌排菌患児との接触が明らかな場合は、職員のみならず同時に新生児への曝露状況聴取とともに、発症リスクが高い場合には LTBI 治療についても検討が必要となる。
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