高齢者介護部門への入院時におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の定着の存在率と、定着に関連する因子:スクリーニングのやり方に対する影響★

2024.04.06

Prevalence and factors associated with methicillin-resistant Staphylococcus aureus colonization on admission to geriatric care units: impact on screening practices

A. Bruyneel*, I. Miesse, D. Mathieu, C. Djuidjé Yuemo, A. Simon
*Réseau Hospitalier Universitaire Cœur de Wallonie, Belgium

Journal of Hospital Infection (2024) 146, 109-115


目的

全員を対象としたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のスクリーニングを行うには、追加の費用がかかり、高リスクの集団を標的としたスクリーニングについては、コンセンサスが存在しない。この研究の目的は、高齢者介護部門における MRSA の存在率を明らかにし、入院時における MRSA の定着に関連する因子を特定することであった。

方法

ベルギーの 6 つの病院の高齢者介護部門におけるこの後向き症例対照研究(1:1)は、2021 年 1 月 1 日から 2022 年 12 月 31 日の期間が対象であった。症例は、高齢者介護部門に入院してから 48 時間以内の MRSA のスクリーニング結果が陽性であった患者とし、対照は、スクリーニング結果が陰性であった患者とした。

結果

合計で、556 例の患者がこの研究に組み入れられた(各群 278 例)。入院 100 件当たりの存在率は、全検体で、2.3(95%信頼区間[CI]2.2 ~ 2.6)であった。入院時において MRSA の保菌者であったことと関連していた有意な多変量因子は、MRSA の既往、介護施設出身、慢性の皮膚病変であった。これら 3 つの因子を適用すると、受信者動作特性(ROC)曲線下面積は 0.73(95%CI 0.71 ~ 0.77)となり、スクリーニングを症例の 55.4%(95%CI 51.2 ~ 59.6%)のみを対象として実施することが可能となるだろう。

結論

高齢者介護部門でこれらの因子をスクリーニングの基準として使うことで、MRSA についてスクリーニングする患者の数をかなり減少させ、その一方で、満足のいく感度と特異度を維持することが可能である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

高齢者の入院患者において MRSA のユニバーサル・スクリーニングは困難であるが、MRSA スクリーニングを行う条件として MRSA の既往、介護施設、慢性皮膚病変などの因子を有する患者が挙げられる。

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