脊椎手術後の術後手術部位感染症のリスクを正確に予測するための機械学習の構成概念妥当性評価
Construct validation of machine learning for accurately predicting the risk of postoperative surgical site infection following spine surgery Q. Zhang*, G. Chen , Q. Zhu, Z. Liu, Y. Li, R. Li, T. Zhao, X. Liu, Y. Zhu, Z. Zhang, H. Li *Taizhou People’s Hospital, Nanjing Medical University, People’s Republic of China Journal of Hospital Infection (2024) 146, 232-241
背景
本研究では、脊椎手術後の術後手術部位感染症(SSI)を予測する機械学習(ML)アルゴリズムに組み入れるリスク因子を検討した。
方法
本前向きコホート研究は、2015 年 1 月から 2022 年 10 月までに南京医科大学附属 Taizhou People’s Hospital で脊椎手術を受けた患者 986 例を対象とした。教師あり ML アルゴリズムとして、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、XGboost、決定木、k-最近傍法、ナイーブベイズ(NB)を試験および訓練し、予測モデルを構築した。ML モデルの性能は、試験データセットから評価した。これらのモデルの正解率、感度および特異度、さらに陽性的中率、陰性的中率および曲線下面積を、逐次的に解析した。
結果
SSI 発生率は 9.33%であった。後方ステップワイズ法を用い、多変量 Cox 回帰分析において、SSI を予測する注目すべきリスク因子は年齢、体格指数、喫煙、脳脊髄液漏出、ドレーン留置期間および術前のアルブミン値であることがわかった。他の ML アルゴリズムと比較して、NB モデルは 7 つの ML モデルの中で最も性能が高く、平均曲線下面積 0.95、感度 0.78、特異度 0.88、正解率 0.87 であった。
結論
ML アルゴリズムの中で NB モデルは、既存モデルと比較して優れた較正能を示し、SSI のリスクを正確に予測したことから、脊椎手術後の SSI の早期発見および治療のための重要なツールとなる可能性がある。
監訳者コメント:
感染対策の領域は、AI との相性が良く、最近急速に論文が増えてきた。AI の予測においては、「なぜそう予測したのか」理由が分からないものも多いが、本論文は、リスク因子を明示してくれている。ただそれにしても「測定(想定)していないパラメーター」は検討できないのは相変わらずであり、今後は患者情報収集の点でも更なる発展が期待される。
同カテゴリの記事
Effects of fluoroquinolone restriction (from 2007 to 2012) on resistance in Enterobacteriaceae: interrupted time-series analysis
Comparative activity of a polyhexanide-betaine solution against biofilms produced by multidrug-resistant bacteria belonging to high-risk clones
Results of a multicentre randomised controlled trial of statistical process control charts and structured diagnostic tools to reduce ward-acquired meticillin-resistant Staphylococcus aureus: the CHART Project
National influences on catheter-associated bloodstream infection rates: practices among national surveillance networks participating in the European HELICS project
Microbial air monitoring in operating theatres: experience at the University Hospital of Parma