大規模浸水後の医療環境におけるカビ除去の評価
Assessment of mould remediation in a healthcare setting following extensive flooding M. Meda*, V. Gentry, E. Preece, C. Nagy, P. Kumari, P. Wilson, P. Hoffman *Frimley Health NHS Foundation Trust, UK Journal of Hospital Infection (2024) 146, 1-9
背景
新たな病院建物が完成に近づいていたときに、上水を運ぶ大きなパイプが破損し、大規模浸水が発生した。
目的
その建物を使用する可能性のある感受性患者に対する、浸水に関連した真菌リスクを評価した。
方法
建設業者による標準的な浸水修理は比較的容易であったが、浸水に関連したカビの増殖に起因する患者リスクを専門的に評価するためのモデルは存在しなかった。バックグラウンドの空中浮遊真菌胞子のレベルは時間とともに著しく変動することが予測されるため、絶対レベルを用いて過剰な空中浮遊真菌胞子または浄化の成功を示すことはできなかった。そこで、バックグラウンドレベルの変動を補正するために、浸水(試験)区域およびそれと同等の非浸水(対照)区域で同時に曝露を行う、週 1 回の落下菌測定法を用いることにした。浸水に関連したリスクは、試験群と対照群の落下菌測定プレートにおける真菌コロニーの絶対数ではなく、それらの比率により評価した。
結果
「抗真菌処理」の実施などの物理的な浸水修理は、浸水後 3 週間で完了したが、浸水区域の真菌汚染は、対照レベルに回復するまでに 38 週間を要し、さらに 6 週間の観察においてそのままであった。
結論
この方法を用いて、建物を使用する可能性のある感受性患者に対し、浸水に関連した真菌リスクはないことを確認することができた。同様の状況に直面している感染予防・制御チームがあれば、この方法の使用を検討することをお勧めする。
監訳者コメント:
浸水エリアのある病院における真菌対策に関する報告。実際の工事写真なども紹介されており、水害の多い日本の病院ではかなり参考になるのではないだろうか。
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