3 次教育病院に入院中に保菌していた患者から分離され、新たに特徴が明らかにされた多剤耐性シュードシトロバクター(Pseudocitrobacter)属★

2024.03.31

A novel characterized multi-drug-resistant Pseudocitrobacter sp. isolated from a patient colonized while admitted to a tertiary teaching hospital

S.A. Kelly*, N.H. O’Connell, T.P. Thompson, L. Dillon, J. Wu, C. Creevey, J. Powell, B.F. Gilmore, C.P. Dunne
*Queen’s University Belfast, UK

Journal of Hospital Infection (2024) 145, 193-202



背景

院内感染症の報告では、通常は既知の微生物が報告される。今回、入院後の直腸スワブによるカルバペネマーゼのスクリーニングに基づき、新規の細菌種が分離され、表現型的および遺伝学的な特徴が明らかにされた。

方法

Sensititre キット、Vitek キット、API キット、MALDI バイオタイパーおよび Illumina MiSeq を用いて解析した後、他の関連する細菌種とプロファイルおよび系統発生を比較した。

結果

腸内細菌目細菌らしいことが判明し、この分離株はアジアに生息するゴキブリと関連付けられている細菌種である Pseudocitrobacter corydidari と、16s rRNA に 99.7%の配列同一性が認められることが分かった。腸内細菌目細菌では 16S rRNA 遺伝子は高度に保存されているとともに変異が少ないことから、平均ヌクレオチド同一性(ANI)分析により新規分離株のゲノムを、SILVA データベース内のシュードシトロバクター属の確認済みの種および命名されていないシュードシトロバクター属を含む、18 種の腸内細菌目細菌のゲノムと比較した。これらのうち P. corydidari は 0.9562 と、最も高いANI を示した。公表されている P. corydidari の既知の唯一の分離株では、公表されているゲノムに、薬剤排出トランスポーターと考えられる遺伝子を除き、抗菌薬耐性遺伝子は含まれていなかった。対照的に、本研究で調べた臨床分離株は既知の抗菌薬耐性遺伝子を保有しており、これには肺炎桿菌カルバペネマーゼ遺伝子が含まれた。関連付けられたゲノムから、カルバペネム系薬、βラクタム系薬、スルホンアミド系薬、フルオロキノロン系薬、マクロライド系薬、アミノグリコシド系薬、およびセファロスポリン系薬への耐性が示唆される。薬剤耐性の表現型が確認された。

結論

抗菌薬耐性遺伝子プロファイルにおける違いがあること、ヒトで保菌されること、そして起源となる臨床的に重要なニッチが地理的・物理的・化学的に全く異なることから、P. corydidari との分岐進化、あるいはそれより可能性は低いが、平行進化であることの信頼性が高い。この新たな細菌種のゲノムデータは、Pseudocitrobacter limerickensis と命名するとの提案とともに、GENBANK に提出した。当該患者は保菌していたのであって、感染していたわけではなく、したがって抗菌薬療法は必要なかった。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

全ゲノム解析により、多剤耐性の Pseudocitrobacter 属の特徴が明らかになった。

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