再利用可能な医療器材の洗浄の有効性を評価するための蛋白質残留物のスマート検出アプローチ
Smart-detection approach for protein residues to evaluate the cleaning efficacy of reusable medical devices T. Ouirungroj*, S. Apichai, T. Pattananandecha, K. Grudpan, C. Saenjum *Chiang Mai University, Thailand Journal of Hospital Infection (2024) 145, 44-51
背景
医療関連感染症は、根絶が困難な問題である。実臨床においては、再利用可能な医療器材の効果的な洗浄に関する感染予防・制御が実施されている。しかし、汚染された可能性のある器材をリアルタイムでモニタリングすることは、複雑で費用のかかる調査と必要な時間によって困難となっている。
目的
医療器材の蛋白質残留物を高感度、迅速かつ低コストで測定するための、安価なアプローチを開発した。
方法
蛋白質の比色反応を改変・縮小し、移動液滴プラットフォームで比色生成物を生成させ、蛋白質汚染データを評価および保存するために、特注で作ったスマートフォンアプリと組み合わせて動作するようにした。生成物の色の強度をスマートフォンのカメラで撮影して検出したところ、5 ~ 20 μg/mL の線形範囲で蛋白質濃度に比例した。蛋白質含量を、特注スマートフォンアプリの PromoveCheck で処理した。
結果
今回提案した手順は、感度が高く、検出限界および定量限界はブラッドフォード反応に基づき 0.03 μg および 0.10 μg であった。再利用可能な医療器材に用いたところ、分光光度法と有意差は認められず、o-フタルジアルデヒド法との相関が認められた(P < 0.05)。
結論
このアプローチは、再利用可能な医療器材の清浄度の調査において、低コスト、感度、効率、追跡可能性を示す。PromoveCheck アプリは、追跡管理に利用可能な蛋白質含量を報告および取得することが可能であり、汚染が疑われるまたは発見された器材について注意を喚起し、中央滅菌供給部の品質管理を改善する。
監訳者コメント:
スマートフォンのカメラ性能は飛躍的に向上しており、タンパク質など測定対象の化学的・物理的処理と、アプリの開発により、様々なものが簡易的かつ効果的に測定、評価が可能になっていくだろう。比較的近い将来に普及しそうな新しい技術の社会実装例と言える。
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