感染予防・制御のレベルを向上させるための統合的介入パッケージの有効性を評価する:バングラデシュにおける多施設共同研究
Measuring the effectiveness of an integrated intervention package to improve the level of infection prevention and control: a multi-centre study in Bangladesh A. Ahmed*, L. Hossain, G. Banik, A. Sayeed, M.R.U.-Z. Sajib, M.M. Hasan, D.E. Hoque, A.S.M. Hasan, V. Raghuyamshi, Shamsuz Zaman, E. Akter, N. Nusrat, F. Rahman, S. Raza, M.R. Hasan, J. Uddin, S. Sarkar, S.D. Adnan, A. Rahman, S. Ameen, S. Jabeen, S. El Arifeen, A.E. Rahman *Uppsala University, Sweden Journal of Hospital Infection (2024) 145, 22-33
背景
感染予防・制御(IPC)は、安全で効果的な質の高い医療を提供し、主にバングラデシュのような人口が密集した環境にある医療施設において回避可能な医療関連感染症(HAI)をなくすために、きわめて重要な要素である。
目的
本研究では、統合的介入パッケージについて、バングラデシュの医療施設の IPC レベルを向上させる効果を評価した。
方法
バングラデシュの 6 県にある県病院(district hospital:DH)6 施設および郡病院(Upazila Health Complex:UHC)13 施設において、介入前後研究を実施した。ベースラインとエンドラインの評価は、2021 年 3 月から 12 月に、改変した世界保健機関 Infection Prevention and Control Assessment Framework(WHO-IPCAF)ツールを用いて実施した。IPCAF スコア(範囲 0 ~ 800)を、8 要素のスコアを合計して算出し、IPC 推進および実行レベルを、「不十分」(0 ~ 200)、「基礎的」(201 ~ 400)、「中程度」(401 ~ 600)、「高度」(601 ~ 800)として分類した。IPC 委員会の設立、医療提供者の訓練、器材の提供、必要なガイドラインの配布、トリアージ/インフルエンザコーナーの設置、インフラ整備を含む統合的介入パッケージを、すべての参加施設で実施した。
結果
全施設における平均 IPCAF スコアは、16%(95%CI 11.5 ~ 20.65%)から 54%(95%CI 51.4 ~ 57.1%)に有意に上昇した。全体として、IPCAF スコアは、DH では 34 パーセントポイント上昇し(P < 0.001)、UHC では40 パーセントポイント上昇した(P < 0.001)。介入後、19 施設中 12 施設(DH 3施設、UHC 9 施設)が不十分から中程度に向上し、その他 3 施設の DH が、IPC レベルに関して基礎的から中程度に向上した。
結論
統合的介入パッケージにより、全施設において IPCAF スコアが改善した。
監訳者コメント:
バングラデシュの公的医療機関において複合的な介入により IPCAF スコアが改善したことを示した研究。IPCAF スコアはすでに日本語にも訳されており(手指衛生自己評価フレームワークとは異なる)、使用している施設もあるのではないだろうか (1)。具体的な点数の推移や介入方法もあわせて参考になるところは多いと思われる。
(1)https://cdn.who.int/media/docs/default-source/integrated-health-services-(ihs)/hand-hygiene/tools/japan/ipcaf-japanese.pdf
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