集中治療室の患者において耐性薬曝露が抗性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)分離に及ぼす影響:システマティックレビューおよびメタアナリシス

2024.01.31

Impact of antibiotic exposure on antibiotic-resistant Acinetobacter baumannii isolation in intensive care unit patients: a systematic review and meta-analysis

M.R. De Blasiis*, A. Sciurti, V. Baccolini, C. Isonne, M. Ceparano, J. Iera, C. De Vito, C. Marzuillo, P. Villari, G. Migliara
*Sapienza University of Rome, Italy

Journal of Hospital Infection (2024) 143, 123-139



背景

集中治療室(ICU)の重篤な患者においてアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)は重大な脅威となる。抗菌薬曝露と耐性 A. baumannii の関連は文献で報告されているが、ICU 患者におけるエビデンスの統合はまだ不十分である。

目的

ICU 患者において抗菌薬曝露歴と耐性 A. baumannii 発生の関連のエビデンスの概要を示すこと。

方法

注目すべき関連性に関するデータを提供するコホート研究および症例対照研究をオンラインデータベースで検索した。カルバペネム/多剤耐性 A. baumannii 分離と非分離の比較、カルバペネム/多剤耐性 A. baumannii とカルバペネム/抗菌薬感受性 A. baumannii の比較、および超多剤耐性 A. baumannii 分離と非分離の比較を行った。各比較では、抗菌薬のクラスごとに制限付き最尤法によるランダム効果メタアナリシスを適用し、統合オッズ比を推定した。研究デザイン、アウトカムの種類、および関連指標の調整によって層別化メタアナリシスを実施した。

結果

全体で 25 報の質の高い研究を抽出した。メタアナリシスでは、カルバペネム/多剤耐性 A. baumannii の分離が、アミノグリコシド系、カルバペネム系、第三世代セファロスポリン系、グリシルサイクリン系、ニトロイミダゾール系への曝露歴と関連することが示された。アミノグリコシド系、抗緑膿菌性ペニシリン系、カルバペネム系、フルオロキノロン系、グリコペプチド系、ペニシリン系への曝露歴では、カルバペネム/多剤耐性 A. baumannii の分離のリスクが、カルバペネム/抗菌薬感受性 A. baumannii の分離と比較して高いことが示された。第三世代セファロスポリン曝露では、超多剤耐性 A. baumannii 分離のリスクが非分離と比較して高かった。

結論

本システマティックレビューは、ICU での抗菌薬使用が抗菌薬耐性 A. baumannii 拡散に及ぼす作用を明らかにするものであるが、一部のクラスの抗菌薬については、調整分析が少数であること、方法論および報告の問題、研究数が限られていることにより、エビデンスはまだ不確実である。今後の研究は、標準化された方法および多変数モデルでの適切な報告により行う必要がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント


ICU での抗菌薬使用が抗菌薬耐性 A. baumannii の出現に及ぼす影響については、慎重に検討を進める必要がある。


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