表面消毒のための低温大気圧プラズマ:有害なメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)バイオフィルムと闘うための有望な武器

2024.01.31

Cold atmospheric plasma for surface disinfection: a promising weapon against deleterious meticillin-resistant Staphylococcus aureus biofilms

M. Lunder*, S. Dahle, R. Fink
*University of Ljubljana, Slovenia

Journal of Hospital Infection (2024) 143, 64-75



背景

従来の抗菌薬に対する細菌の耐性はますます強まりつつあるため、新たなアプローチを探究する必要がある。

目的

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:MRSA)の管理における低温大気圧プラズマの可能性を評価すること。

方法

それぞれ 24、48、および 72 時間培養した耐性および感受性の黄色ブドウ球菌バイオフィルムを、60、120、および 180 秒の処理時間でプラズマに曝露させた。

結果

処理時間が長くなると、黄色ブドウ球菌の感受性および耐性株の両方で、細胞数の減少が多くなった(P < 0.05)。180 秒のプラズマ処理により、最大で log10 減少係数 5.24 cfu/ cm2 が達成できた。さらに、プラズマ処理により、大幅に細胞の代謝を変化させ、細胞膜の完全性に影響を及ぼすことができた。しかし、24 および 48 時間培養したバイオフィルムでは、プラズマではバイオフィルムバイオマスを減少させられなかったが、72 時間培養したバイオフィルムではプラズマに対する感受性がより高く、バイオマスの減少(P < 0.05)が示された。細胞間における活性酸素種の蓄積も観察され、このことから、プラズマが酸化ストレスを誘導することが確認された。最後に、細菌細胞を連続的にプラズマに曝露させてもプラズマに対する耐性は生じないうえ、セフォキシチンに対する耐性も発生しなかった。

結論

低温大気圧プラズマは、黄色ブドウ球菌および MRSA バイオフィルム処理のための優れた候補であり、したがって細菌耐性がもたらす危機において価値を有する可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

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