カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)およびカンジダ・オーリス(Candida auris)に対するオクテニジンおよびクロルヘキシジン浸漬ウォッシュミットの有効性:比較研究★

2024.01.31

Efficacy of octenidine- and chlorhexidine-based wash-mitts against Candida albicans and Candida auris — a comparative study

F. Gugsch*, C.K. Tan, D.Y. Oh, L. Paßvogel, K. Steinhauer
*bactologicum GmbH, Germany

Journal of Hospital Infection (2024) 143, 91-96



背景

新興病原体であるカンジダ・オーリス(Candida auris)によるアウトブレイクの管理には、汚染除去のための抗菌薬ウォッシュミットの使用が含まれる可能性がある。しかし現在、C. auris アウトブレイクの効果的な管理を目的としたプロトコールの一環として、「全身除菌」を広く採用することを支持する臨床的エビデンスはほとんどない。本研究の目的は、C. auris の化学物質耐性を、欧州規格(EN)で確立されている試験微生物カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を代用として比較することであった。

方法

グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)またはオクテニジン二塩酸塩(OCT)を用いた市販の2 種類の消毒剤浸漬ウォッシュミットを試験した。C. aurisC. albicans の感受性を、標準化された EN 13624 試験プロトコールに基づいて比較検討した。試験は、有機物汚染度が低い条件下で、0.5%から 97%の間の異なる濃度において接触時間 30 秒にて、ウォッシュミットから絞った浸漬液を用いて行った。

結果

EN 13624 に基づく殺酵母活性は、OCT 浸漬ウォッシュミットでは 濃度 10%以上、30 秒間で C. albicans に対して認められた。対照的に、4 log10 以上の減少が、かなり低い 1%以上という濃度で、用いた 2 つの C. auris 株に対して認められた。CHG 浸漬ウォッシュミットでは、C. albicans に対する殺酵母活性は、濃度97%、30 秒間以内で 2 log10 未満の減少であった。2 つの C. auris 株に対する活性は、約 3 log10 の減少であった。

結論

用いた 2 つの C. auris 株ともに、C. albicans と比べると感受性が有意に高かった。データから、すべての消毒剤浸漬ウォッシュミットが C. auris に対して等しく効果的なわけではなく、OCT の方が CHG よりも有効性が高かったことも示された。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント


近年、諸外国において多剤耐性で重篤な感染症を引き起こす恐れのある Candida auris によるアウトブレイクの事例が報告され、問題となっている。胃腸管に定着する C. auris は、環境汚染と直接相関して皮膚に定着し、感染症の伝播と発生を引き起こす。 本研究は C. auris によるアウトブレイク管理の方法として消毒薬含漬のウォッシュミット(洗浄に用いるミット状の手袋)による全身除菌の可能性を模索した基礎的な研究である。

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