新生児における中心静脈ライン関連血流感染症の負荷の軽減を図る新規輸液システム
A new perfusion system to reduce the burden of central-venous-line-associated bloodstream infections in neonates J.C. Picaud*, S. Faton, P. Pradat, B. Pastor-Diez, A. Martelin, X. Armoiry, S. Hays *Hopital universitaire de la Croix-Rousse, Hospices Civils de Lyon, France Journal of Hospital Infection (2024) 143, 203-212
背景
早期産児において中心静脈ライン関連血流感染症(CLABSI)は罹病および死亡の重大な原因である。多様な予防策に関して報告された効果には大きなばらつきがあるため、新たな追加策を提示することが重要と思われる。
目的
新規輸液システムが CLABSI 発生率に及ぼす影響を評価すること。
方法
在胎 32 週未満または出生時体重 1,500 g 未満で、中心静脈ラインに接続されたマルチ輸液システムが必要とされる乳児を対象に前後比較試験を実施した。最初の 12 か月間(「介入前」)は、既存の輸液システム(複数の活栓)を使用した。その後の介入期間では、中心ラインのさまざまなケアに関連する「バンドル」は変更しないで、新規の閉鎖式輸液システムを実施した。この 2 回目の 12 か月間(「介入後」)に CLABSI 発生率を評価し、介入前の期間と比較した。
結果
全体で乳児 313 例を本研究の対象とし(介入前 163 例、介入後 150 例)、46%は出生時体重が 1,000 g 未満であった。灌流システムの変更により、CLABSI 発生率は 1,000 カテーテル日あたり 11.3 から 2.2 に有意に減少した(P < 0.001)。新規輸液システムの実施後、その期間は CLABSI リスクの 88%低下と独立して関連した(オッズ比[OR]0.12、95%信頼区間[CI]0.03 ~ 0.39、P < 0.001)。また中心ラインの使用期間は CLABSI と関連した(1 日延長につき OR 1.05、95%CI 1.02 ~ 1.07、P < 0.001)。
結論
大規模な新生児室において新規輸液システムは実施可能であり、介入後まもなく CLABSI 発生率が低下した。
監訳者コメント:
輸液システムの改善により、CLABSI 発生率の低減に結びつけた1例である。他施設間共同による臨床研究によりその効果がさらに明らかとなるであろう。
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