血管アクセス感染予防のためのグッドプラクティスガイドラインの遵守:フランスの血液透析科を対象とした多施設共同 PHYDEL 調査
Compliance with good practice guidelines for the prevention of vascular access infections: the multi-centre PHYDEL survey in French haemodialysis units P. Habihirwe*, H. Marini, B. Wurtz, T. Vermeulin, M. Lottin, J.F. Gehanno, L. Boulet, H. Vergnes, S. Edet, L. Gueti, F. Le Roy, V. Merle *CHU Rouen, France Journal of Hospital Infection (2023) 142, 1-8
背景
血液透析における血管アクセス感染予防のためのフランスのガイドラインが2005 年に公表された。このガイドラインが遵守されているかは、現時点で不明である。この研究の目的は、フランスの血液透析科における血管アクセス感染予防のためのガイドラインの遵守について評価し、報告された問題について記述することであった。
方法
無作為に選んだフランスの 200 の血液透析科を対象に、2019 年の 3 月から 12 月に横断的調査を実施した。データは、質問票で収集し、感染制御の専門家との電話インタビューで完成させた。透析の業務は、血液透析科の 85%超がいつもガイドラインに従っていたと申告したときに、遵守していると考えた。
結果
合計で、103 の血液透析科(51.5%)が参加に同意した。透析の業務の大部分はガイドラインを遵守していたが、次のような業務のときに、遵守閾値である 85 %に達しなかった。すなわち、中心静脈カテーテル(CVC)のラインを接続するときに 2 人 1 組で働く、ラインを外す前に手指衛生を実施する、CVC の出口部位や動静脈瘻穿刺部位に消毒用塗料を塗る前に消毒用洗剤を洗い流す、消毒用塗料を乾燥させる、消毒剤を染み込ませたガーゼで CVC の枝を取り扱う、手袋で動静脈瘻を圧迫した後に手指衛生を実施する、CVC を接続する/外すときや動静脈瘻の穿刺をするときに目の保護具を装着する、動静脈瘻の穿刺をするときに手術着を着るである。報告された頻度が最も高かった問題は、人員不足、出口部位の皮膚の損傷による皮膚の前処置の問題、ボタンホール法についての専門知識がないことであった。
結論
全体的な遵守状況は良好であったが、この調査は、感染予防ガイドラインの遵守におけるいくつかの欠点をはっきりと示している。それらは、血管アクセス感染のリスクの増加や、血液によるウイルスの感染の増加と関連している可能性がある。
監訳者コメント:
血液透析患者のバスキュラーアクセスの際の感染防止ガイドラインの遵守率を項目毎に評価した研究であり、特に業務関係者にとっては有用な内容と考えられる。ガイドラインも是非参照されたい。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272638619311370
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