体外式膜型人工肺を使用している患者における体格指数と血流感染症との関連性:単一施設後向きコホート研究

2023.10.30

Association of body mass index and bloodstream infections in patients on extracorporeal membrane oxygenation: a single-centre, retrospective, cohort study

E.H. Lee*, J.A. Lee, J.Y. Ahn, S.J. Jeong, N.S. Ku, J.Y. Choi, J-S. Yeom, Y.G. Song, S.H. Park, J.H. Kim
*Yonsei University College of Medicine, South Korea

Journal of Hospital Infection (2023) 140, 117-123


背景

肥満は重篤な患者において臨床転帰の不良と関連している。しかし、一部の臨床状況下で、肥満は保護作用を示す。血流感染症(BSI)は、体外式膜型人工肺(ECMO)に関連する最もよく見られる院内感染症の 1 つである。ECMO 中の BSI は死亡率上昇と臨床転帰の悪化に関連している。

目的

体格指数(BMI)が ECMO 中の BSI または院内死亡率に関連しているかどうかを分析すること。

方法

48 時間を越えて ECMO による補助を受けた全成人患者を本分析の対象とした。ECMO による補助を受けた期間の合計、院内死亡率、BSI の分析を、BMI のカテゴリーによって層別化した。Cox 比例ハザードモデルを用いて、BMI のカテゴリーにおける BSI のリスクを比較した。

結果

計 473 例の患者が本研究に登録された。平均年齢は 56.5 歳、65.3%が男性であった。ECMO の総使用期間は約 11.8 日間であり、死亡率は 47.1%であった。BSI とカンジダ血症の発生率は、それぞれ 20.5%と 5.5%であった。低体重群は呼吸補助に ECMO を必要としたのに対し、過体重および肥満群は循環補助に ECMO を必要とした(P < 0.0001)。BSI の発生率に有意差は認められなかった(P = 0.784)。しかし、臨床的因子で補正すると、第 4 群(BMI 25.0 ~<30.0 kg/m2)の患者は、第 2 群(正常な BMI)の患者と比較して、低い死亡率を示した(P = 0.004)。

結論

BMI は BSI のリスクに関連していなかったが、BMI 値がより高い患者は ECMO による補助に関連する院内死亡率がより低かった。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

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