COVID-19 に対する口内洗浄液の有効性:システマティックレビューおよびネットワークメタアナリシス
Effectiveness of mouth rinses against COVID-19: a systematic review and network meta-analysis S-Y. Lin*, J-S. Sun, M-C. Hung, J.Z-C. Chang *MacKay Memorial Hospital, Taiwan Journal of Hospital Infection (2023) 139, 175-191
目的
本システマティックレビューおよびネットワークメタアナリシスでは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス‐2(SARS-CoV-2)のウイルス量/感染力の低減(Part I)、SARS-CoV-2 感染症の臨床症状または重症度の軽減(Part II)、SARS-CoV-2 感染症の発生率の低減(Part III)に、各種口内洗浄液が及ぼす有効性について包括的に比較した。
方法
無作為化対照試験(RCT)および制限を設けた非無作為化対照試験(非 RCT)を 2023 年 3 月 3 日まで検索した。23 報の研究(RCT 22 報、非 RCT 1 報)が本システマティックレビューの選択基準を満たした。
結果
Part I に関して RCT 5 報(患者 454 例、9 つの介入)がネットワークメタアナリシスに適格とされた。ネットワークメタアナリシスの結果から、洗浄液非使用と比較して、塩化ナトリウム(NaCl)がウイルス量の低減にもっとも有効な口内洗浄液であり、そしてポビドンヨード(PVP-I)、β‐シクロデキストリン+シトロックス(CDCM)、過酸化水素(HP)、グルコン酸クロルヘキシジン(CHX)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、プラセボ、次亜塩素酸(HClO)と続いた。しかし、この結果は有意ではなかった。累積順位曲線下面積スコアに基づくと、SARS-CoV-2 ウイルス量の低減には、PVP-I がもっとも有効な口内洗浄液である可能性が高く、CDCM、HP、NaCl、CHX、CPC、プラセボ、洗浄液非使用、HClO と続いた。
結論
初回研究の異質性の結果から、各種口内洗浄液が、ウイルス感染力の低減、SARS-CoV-2 感染症の臨床症状の改善あるいは予防に及ぼす有効性は、依然として決定的ではない。
監訳者コメント:
塩化ナトリウム(NaCl)がウイルス量の低減にもっとも有効な口内洗浄液であった。累積順位曲線下面積スコアに基づくと、SARS-CoV-2 ウイルス量の低減には PVP-I がもっとも有効な口内洗浄液である可能性が高いと評価されたという。
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