帝王切開後の手術部位感染症の世界的な発生率:システマティックレビューおよびメタアナリシス

2023.09.30

Global incidence of surgical site infections following caesarean section: a systematic review and meta-analysis

M. Farid Mojtahedi*, M. Sepidarkish, M. Almukhtar, Y. Eslami, F. Mohammadianamiri, K. Behzad Moghadam, S. Rouholamin, M. Razavi, M. Jafari Tadi, A. Fazlollahpour-Naghibi, Z. Rostami, A. Rostami, M. Rezaeinejad
*Tehran University of Medical Sciences, Iran

Journal of Hospital Infection (2023) 139, 82-92


背景

帝王切開後の手術部位感染症(SSI)は健康を脅かす併発症である。しかし、著者の知る限りでは、帝王切開後の SSI による負担は世界的に推定されていない。そのため、このシステマティックレビューおよびメタアナリシスは、帝王切開後の SSI の世界的・地域的発生率および関連因子を推定することを目的とした。

方法

2000 年 1 月から 2023 年 3 月までに発表された観察研究を、国際的な科学データベースにより体系的に検索した(言語および地理的制限を設けず)。世界的な統合発生率をランダム効果メタアナリシスにより推定し、さらに世界保健機関(WHO)の規定地域、社会人口統計学的特性および研究特性によって層別化した。SSI の原因菌および関連リスク因子もランダム効果メタアナリシスにより分析した。異質性を I2 により評価した。

結果

58 か国の参加者 2,188,242 例を含む適格研究 180 報(データセット 207)を本レビューの対象とした。帝王切開後の SSI の世界的な統合発生率は 5.63%(95%信頼区間[CI]5.18% ~ 6.11%)であった。帝王切開後の SSI 発生率がもっとも高かったのはアフリカ(11.91%、95%CI 9.67% ~ 14.34%)、もっとも低かったのは北アメリカ(3.87%、95%CI 3.02% ~ 4.83%)と推定された。低所得国および人間開発指数が低い国で発生率が有意に高かった。統合発生率の推定値は経時的に着実に増加しており、新型コロナウイルス感染症のパンデミック時(2019 年から 2023 年)に発生率がもっとも高かった。もっとも多い病原体は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と大腸菌(Escherichia coli)であった。複数のリスク因子が特定された。

結論

特に低所得国において、帝王切開後の SSI により実質的な負担とその増大が特定された。帝王切開後の SSI を低減させるために、さらなる研究、認識の向上、効果的な予防と管理対策の構築が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント


帝王切開後の SSI 発生率がもっとも高かったのはアフリカ(11.91%、95%CI 9.67% ~ 14.34%)、もっとも低かったのは北アメリカ(3.87%、95%CI 3.02% ~ 4.83%)と推定された。様々なリスクファクターがあるが、置かれている医療状況により様々である。

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