小児造血幹細胞移植における血流感染症のリスク因子:システマティックレビューおよびメタアナリシス
Risk factors for bloodstream infection in paediatric haematopoietic stem cell transplantation: a systematic review and meta-analysis M. Yang*, L. Xin, H. Li, X. Lu, X. Pan, S. Lei, Y. Li, L. Zhu, Q. Zhu, R. Jiang, Z. Jia, G. Cheng, L. Zeng*, L. Zhang *West China Second University Hospital, Sichuan University, China Journal of Hospital Infection (2023) 139, 11-22
背景
小児血液疾患に対する標準治療である造血幹細胞移植(HSCT)は血流感染症(BSI)との関連性が高く、死亡率を高める可能性がある。
目的
小児 HSCT レシピエントにおける BSI リスク因子について調査すること。
方法
3 種類の英語データベースと 4 種類の中国語データベースを用いて、開始から 2022 年 3 月 17 日まで検索した。18 歳以下の HSCT レシピエントが登録され、BSI リスク因子が報告された無作為化対照試験、コホート研究、症例対照研究を適格研究とした。2 名の評価者が独立して、研究のスクリーニング、データ抽出、バイアスリスクの評価を行った。Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation(GRADE)を用いて、エビデンス総体の確実性を評価した。
結果
小児 4,602 例を含む 14 報の研究を対象とした。小児 HSCT レシピエントにおける BSI 発生率と関連死亡率はそれぞれ、およそ 10%~ 50%、5%~ 15%であった。すべての研究のメタアナリシスでは、HSCT 以前の BSI 既往(相対的影響 2.28、95%信頼区間[CI]1.19 ~ 4.34、中等度の確実性)および臍帯血移植の実施(相対的影響 1.55、95%CI 1.22 ~ 1.97、中等度の確実性)は、BSI リスクの増加とほぼ確実に関連することが示された。バイアスリスクの低い研究のメタアナリシスでは、HSCT 以前の BSI 既往が BSI リスクをほぼ確実に高めること(相対的影響 2.28、95%CI 1.19 ~ 4.34、中等度の確実性)が再確認された。またステロイド使用(相対的影響 2.72、95%CI 1.31 ~ 5.64、中等度の確実性)はリスク因子となる可能性があり、その一方で、自家 HSCT は BSI のほぼ確実な防御因子であること(相対的影響 0.65、95%CI 0.45 ~ 0.94、中等度の確実性)が示された。
結論
これらの結果は、小児 HSCT レシピエントの管理に関する情報を提供することができ、予防的抗菌薬が有益となる可能性のある患者を特定するのに役立つであろう。
監訳者コメント:
HSCT レシピエントの管理を行う上で、リスク因子として何が重要であるのかを見いだしている。中国とその他の先進国の対比も知りたいところである。 諸外国における医療の実情は異なるため、それらを交えた解析結果を知りたいところである。
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