カンジダ・オーリス(Candida auris)の環境表面材料上の生存と消毒薬に対する低度耐性
Survival of Candida auris on environmental surface materials and low-level resistance to disinfectant O. Dire*, A. Ahmad, S. Duze, M. Patel *University of the Witwatersrand, South Africa Journal of Hospital Infection (2023) 137, 17-23
背景
カンジダ・オーリス(Candida auris)は、消毒にもかかわらず環境中に存続する。種々の環境表面におけるその生存と、致死濃度以下の消毒薬が C. auris に及ぼす影響は、これまでに検討されていない。
目的
C. auris の環境表面上の生存と、致死濃度以下の消毒薬の影響を検討する。
方法
表面材料のブロックを作成し、C. auris により人為的に汚染させた。生菌数を 3 週間評価した。さらに、C. auris 細胞に消毒薬を連日、15 日間パルスし、最小発育阻止濃度(MIC)を決定した。消毒薬曝露株において、標準的方法を用いてエルゴステロール量と排出ポンプの定量を実施した。
結果
C. auris はすべての表面上で 3 週間を超えて生存し、最小菌数は、湿潤条件か乾燥条件かを問わず、2.3 log コロニー形成単位であった。湿潤木材は C. auris の増殖を支持した(1 log増加)一方、乾燥木材は C. auris を抑制した(いずれも P < 0.01)。C. auris は、バイオフィルムの形ですべての表面で増加した。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムおよびベンザルコニウム塩化物をパルスした C. auris 細胞で MIC が上昇したが、ベンザルコニウム塩化物に曝露した C. auris でのみ、エルゴステロール量の低下と排出ポンプの活性化が認められた。
結論
C. auris は試験を行ったすべての表面で生存したが、湿潤木材での生存が顕著であった。ベンザルコニウム塩化物をパルスした C. auris において、消毒薬に対するある程度の耐性が生じ、排出ポンプの活性化が認められたことから、低度耐性の出現が示唆された。
監訳者コメント:
C. auris が環境中で長期間生存し、またベンザルコニウム塩化物に対して耐性を示す可能性があることを示した論文。こういった性質がカンジダ属全般に認められるものか、C. auris に特化したものかはよく分かっていない。日本ではまだ検出頻度が低いが、引き続き注目すべき病原真菌である。
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