急性白血病の小児における寛解導入化学療法中の抗菌薬予防投与の有効性および安全性の比較:システマティックレビューおよびメタアナリシス

2023.06.02

Comparative effectiveness and safety of antibiotic prophylaxis during induction chemotherapy in children with acute leukaemia: a systematic review and meta-analysis

M. Yang*, X. Lud, L. Xin, J. Luo, S. Diao, Z. Jia, G. Cheng, L. Zeng, L. Zhang
*West China Second University Hospital, Sichuan University, China

Journal of Hospital Infection (2023) 136, 20-29


背景

小児および思春期急性白血病患者においては、寛解導入療法中に細菌感染症が高頻度にみられ、感染関連死亡を引き起こす場合がある。

目的

急性白血病で寛解導入化学療法を受けている小児患者において、抗菌薬予防投与の有効性と安全性を検討した。

方法

英語のデータベース 3 つと中国語のデータベース 4 つから、急性白血病で寛解導入化学療法を受けている小児患者を対象に、抗菌薬予防投与をプラセボ、予防投与なしと比較した、または異なる抗菌薬を比較した無作為化対照試験(RCT)およびコホート研究を検索した。2 名の評価者が独立して研究のスクリーニングを行い、データを抽出し、Cochrane Risk of Bias 2 ツールおよび Newcastle-Ottawa Scale を用いてバイアスのリスクを評価するとともに、Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation(GRADE)を用いてエビデンスの確実性を評価した。

結果

2 件の RCT と 10 件のコホート研究を最終的に組み入れた。急性リンパ性白血病の小児では、レボフロキサシン、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、その他の抗菌薬の予防投与により菌血症が減少した可能性が高く(リスク比[RR]0.44、95%信頼区間[CI]0.33 ~ 0.60、中等度の確実性)、クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)感染症(CDI)または侵襲性真菌感染症の有意な増加は認められなかった。レボフロキサシンは CDI 発生率を低下させた(RR 0.08、95%CI 0.01 ~ 0.62、高い確実性)。シプロフロキサシンの予防投与により、感染関連死亡率が低下した可能性が高い(RR 0.12、95%CI 0.01 ~ 0.97、中等度の確実性)。急性骨髄性白血病の小児では、シプロフロキサシン + バンコマイシンによって、発熱性好中球減少症が減少する可能性がある(RR 0.79、95%CI 0.66 ~ 0.94、低い確実性)。個々の研究において、予防投与により抗菌薬曝露は増加したが、非予防的な抗菌薬曝露は減少したことが示された。

結論

急性白血病で寛解導入療法を受けている小児において、抗菌薬予防投与により細菌感染症と死亡率が改善する可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント


この論文は、寛解導入療法を用いて小児の急性白血病の生命予後を見る意味で、臨床的には小児科の臨床あるいは白血病の学術雑誌で取り上げるべきであろう。

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