新規の発光ダイオードをベースとした紫外線照射技術の殺菌効果および不活化動態
Antimicrobial efficacy and inactivation kinetics of a novel LED-based UV-irradiation technology H. Schöbel*, G. Diem, J. Kiechl, D. Chistè, G. Bertacchi, A. Mayr, D. Wilflingseder, C. Lass-Flörl, W. Posch *MCI - The Entrepreneurial School, Austria Journal of Hospital Infection (2023) 135, 11-17
背景
紫外線発光ダイオード(UV-LED)はエネルギー効率が良く、微生物の不活化において特に注目されている。COVID-19 パンデミックの状況下で、新規の UV 技術は、効果的な感染予防制御の強力な代替法となりうる。
方法
本試験では、無生物表面上で乾燥させた大腸菌(Escherichia coli)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、ならびに重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)、ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)、マウスノロウイルス(MNV)において、欧州規格 EN 17272 に基づいた紫外線 C 波(UV-C)LED の殺菌効果を評価した。
結果
本試験において、試験細菌では、UV-C を試験した 3 つのすべてを平均して、平均 UV-C 線量が大腸菌で 1.7 mJ/cm2、P. fluorescens で 1.9 mJ/cm2、L. innocua で 1.5 mJ/cm2 の場合、不活化率は 90%であった。試験ウイルスでは、UV 線量 15 mJ/cm2 未満の場合、255 nm および 265 nm の波長で 90%の不活化率が得られた。ウイルスに対して 275 nm および 285 nm のように長い UV 波長の曝露では、不活化のためにきわめて高い UV 線量(最大 120 mJ/cm2)を必要とした。SARS-CoV-2 または HIV-1 と比較して、非エンベロープ MNV の不活化には、試験したすべての波長でさらに高い UV 線量が必要であった。
結論
全体的にみて、この結果は、UV の適正線量の曝露で細菌のみならず、エンベロープウイルスおよび非エンベロープウイルスも不活化する、波長がより短い UV-C 領域の LED 照射の使用を支持するものである。しかし、短波 UV-C LED の入手可能性は低く、製造費用が高すぎるために、現時点では実施が制限されており、長波 UV-C LED と高照射線量の併用を薦める。
監訳者コメント:
内容が専門的であるが、まずは「へー、LED(発光ダイオード)でも紫外線を発することができるんだ」という感想。ただ十分な殺菌効果を有する短波長のものはまだ生産数も少なく高価なのだそうだ。これから紫外線消毒領域でも LED が主流になっていくのだろうか。
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