中国の総合病院における 2001 年から 2022 年までの入院患者の医療関連感染症と関連するリスク因子のシステマティックレビューおよびメタアナリシス
A systematic review and meta-analysis of risk factors associated with healthcare-associated infections among hospitalized patients in Chinese general hospitals from 2001 to 2022 X. Liu*, Y. Long, C. Greenhalgh, S. Steeg, J. Wilkinson, H. Li, A. Verma, A. Spencer *University of Manchester, UK Journal of Hospital Infection (2023) 135, 37-49
背景
医療関連感染症(HAI)は、世界的に重要な公衆衛生上の問題である。しかしながら、中国の総合病院では、HAI のリスク因子に関する包括的な分析がまだ大規模に実施されていない。本レビューの目的は、中国の総合病院における HAI と関連するリスク因子を評価することである。
方法
2001 年 1 月 1 日から 2022 年 5 月 31 日に発表された研究を抽出するために、Medline、EMBASE、Chinese Journals Online のデータベースを検索した。オッズ比(OR)を推定するためにランダム効果モデルを用いた。tˆ2およびI2統計量に基づき不均一性を評価した。
結果
最初の検索により特定された発表論文計 5,037 報のうち58 報を定量的メタアナリシスの対象とし、中国の 23 省の 41 区域に 1,211,117 例の入院患者が含まれ、29,737 例が HAI であると確認された。本レビューにより、HAI と有意に関連するのは、60 歳以上(オッズ比[OR]1.74、95%信頼区間[CI]1.38 ~ 2.19)・男性(OR 1.33、95%CI 1.20 ~ 1.47)などの社会人口統計学的特性、侵襲的手技(OR 3.54、95%CI 1.50 ~ 8.34)、慢性疾患(OR 1.49、95%CI 1.22 ~ 1.82)・昏睡(OR 5.12、95%CI 1.70~15.38)・免疫抑制(OR 2.45、95%CI 1.55 ~ 3.87)などの健康状態であることが示された。他のリスク因子は、長期臥床(OR 5.84、95%CI 5.12 ~ 6.66)、化学療法(OR 1.96、95%CI 1.28 ~ 3.01)・血液透析(OR 3.12、95%CI 1.80 ~ 5.39)・ホルモン療法(OR 2.96、95%CI 1.96 ~ 4.45)・免疫抑制(OR 2.45、95%CI 1.55 ~ 3.87)・抗菌薬使用(OR 6.64、95%CI 3.16 ~ 13.96)などの医療関連リスク因子、15 日以上の入院日数(OR 13.36、95%CI 6.80 ~ 26.26)であった。
結論
中国の総合病院において、60 歳以上の男性であること、侵襲的手技、健康状態、医療関連リスク因子、15 日以上の入院日数が、HAI と関連する主要なリスク因子であった。これは、費用対効果の良い関連する予防制御策の情報を提示するエビデンスに基づく結果を支持するものである。
監訳者コメント:
医療関連感染症のリスクファクターを 120 万人を超える患者を対象としたシステマティックレビューおよびメタアナリシスで明らかにした論文。一つひとつの因子は取り立てて目新しいものではないが、院内教育の導入などで紹介できるのではないだろうか。
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