マスク(濾過式ハーフマスク)の密着性と感染予防効果の概要

2023.04.19

Overview of tight fit and infection prevention benefits of respirators (filtering face pieces)

J.K. Knobloch*, G. Franke, M.J. Knobloch, B. Knobling, G. Kampf
*University Medical Center Hamburg-Eppendorf, Germany

Journal of Hospital Infection (2023) 134, 89-96


SARS-CoV-2 伝播の予防対策に関する規定は世界各地でばらつきが大きく、マスク(濾過式ハーフマスク FFP2 または類似のマスク)が義務化されることが多いドイツでは非常に厳しい規定がある。とはいえ、マスクの効果は本質的に、マスクと着用者の顔の間の隙間から汚染空気の漏れがない顔面への密着性に左右される。顔面への密着性はフィットテストで検証できる。本レビューの目的は、マスクのデザインに左右される定性フィットテストの結果を報告することである。文献検索により適格な研究 29 報を抽出した。ヘッドストラップ付きのすべてのマスクのうち、三層構造ドーム型マスクが最も密着性があり(4,625 回のフィットテストの合格率 80.8%)、強固なドーム型マスク(8,234 回のフィットテストの合格率 72.4%)、カモノハシ型マスク(2,120 回のフィットテストの合格率 31.6%)、コーヒーフィルター型マスク(3,392 回のフィットテストの合格率 30.9%)と続いた。耳ループ付きマスクは密着性が極めて低かった(222 回のフィットテストの合格率 3.6%)。4 つの無作為化対照試験では、実験室で確認されたウイルス性呼吸器感染症の予防において、単回使用マスクは、フィットテストで調整された場合でも、サージカルマスクに対して優位性を示さなかった。したがって、マスク使用義務には、ばらつきがあり、エビデンスにより支持されないと考える。職業安全衛生の一環としてマスクが有益性をもたらしうるというシナリオで、さらなるエビデンスを構築する必要がある。利益が確認された状況において、ヘッドストラップ付きの高品質の使い捨てマスク、または保護レベルがより高い呼吸用保護具のみを使用すべきである。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

濾過式ハーフマスクとは当初工業領域に開発されてもので、医療用への応用は時間がたってからの出来事である。防護具の定義を今一度見返す必要があると思う。
濾過式ハーフマスク FFP2 または類似のマスクの個人に対する適合性は相当幅があるものとし、対処するべきである。労働安全衛生上、医療にその基準が採用されたのは 1990 年台とつい最近の事であり、医療向けに慎重に品質を見極める必要がある。

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