ヒトコロナウイルス感染症が 3 次小児病院の小児患者に及ぼす影響:プレパンデミック時の後向き研究
Impact of human coronavirus infections on paediatric patients at a tertiary paediatric hospital: a retrospective study of the prepandemic era A.O. Alsulami*, R. Chahine, M. Kong, D.W. Kimberlin, R.J. Whitley, S.H. James *University of Alabama at Birmingham, USA Journal of Hospital Infection (2023) 134, 27-34
背景
ヒトコロナウイルスは、ヒトおよび動物における重大な呼吸器病原体である。ほとんどのヒトコロナウイルスが新興病原体で、この 20 年間に 5 種類の既知のヒト病原体が同定されている。
目的
小児のヒトコロナウイルス感染症における重症度および転帰に関する理解を深めるために、臨床経過を調査すること。
方法
3 次小児病院において、既知のヒトコロナウイルス感染症の小児を対象に、2015 年 1 月から 2018 年 1 月までのすべての診療について後向きレビューを実施した。人口統計学的データ、ヒトコロナウイルスの種類、ウイルスの共存病原体、検査までの時間、入院の必要性、集中治療室での管理および酸素サポートの必要性などの高次医療の要件、下気道疾患を示唆する X 線所見、入院期間(LOS)について、電子カルテをレビューした。
結果
異なる患者計 430 例の診療 450 件が確認され、大多数(85%)が入院患者であった。最も多いヒトコロナウイルスは OC43 株であった。若年患者(5 歳未満)は、入院の可能性が高く(補正オッズ比[aOR]2.2、95%信頼区間[CI]1.2 ~ 4.1)、高次医療の要件(aOR 1.8、95%CI 1.0 ~ 3.1)、胸部X線画像上での下気道所見があること(aOR 1.7、95%CI 1.01 ~ 2.9)が認められた。臨床転帰については、ヒトコロナウイルス 229 E 株で LOS が延長したことを除き、各タイプ間で差は認められなかった。入院(中央値 25.5 日)の 3 日後に 52 件(11%)の診療が確認され、院内感染症の可能性が示唆された。
結論
小児集団、特に重症化リスクが高い 5 歳未満の患者において、ヒトコロナウイルスは重大な呼吸器病原体である。院内感染病原体としてのヒトコロナウイルスの機能は、十分に認識されていない可能性がある。
監訳者コメント:
新型コロナウイルスについてはこれだけ網羅的に調べてきたから色々なことが分かっている。では新型ではないコロナウイルスも実は同じような性質を持っているのではないか?と多くの人が思っているだろう。PCR 検査など技術の発展は無限に新しい知見をもたらしてくれるが、実際にできる対応には限界がある。感染管理では「分かることとできることの解離」にどう対応していくかが求められる。
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