急性期病院のカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)保菌患者に対する医療従事者のケアの経験-スコーピングレビュー
Healthcare workers’ experiences of caring for patients colonized with carbapenemase-producing Enterobacterales (CPE) in an acute hospital setting – scoping review M. O’Connor*, C. McNamara, O. Doody * University Hospital, Ireland Journal of Hospital Infection (2023) 131, 181-189
カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)について、公衆衛生上の懸念が高まりつつある。CPE は病院環境での伝播性が高く、この多剤耐性菌の保菌患者数は増加傾向にある。CPE 保菌患者をケアする医療従事者は、病院でのケアの提供およびプロセスに関する識見を提供する。本レビューの目的は、医療従事者による CPE 保菌患者のケアの経験を調査することである。スコーピングレビュー法を使用し、7 つの電子データベース(CINAHL、Academic Search Complete、Cochrane、Embase、Medline、Web of Science、Scopus)および 4 つの灰色文献データベース(Op Grey、Grey Literature Report、Clinical trials. Gov、WHO International Clinical Trials Registry Platform)で、特定の検索用語および選択/除外基準を用いて検索した。主題の形成に用いた論文選択および主題分析のプロセスを図解するため PRISMA フロー図を用いた。3 報の研究がこのレビューの選択基準に合致した。論文の分析により 2 つの主要なテーマ、すなわち「安全防御対策」「知識力」が特定された。医療従事者自身、その家族、患者を防御したいとの思いが、研究から明らかにされた。医療従事者は、CPE 伝播の予防のために手指衛生などの感染予防・制御策の重要性を認識しているが、これらに対して時間的制約などの障壁が特定された。結論として、CPE 保菌患者のケアに関しては、医療従事者は負の連想をする。その分野で実施された研究はきわめて少なく、職員の向上と支援の機会を見極めるために、CPE 保菌患者をケアする医療従事者の経験をさらに調査する好機である。
監訳者コメント:
「Scoping Review」は、特定の分野やトピックに関する研究の一般的な概要を把握することを目的とするレビュー方法の一つで、どれくらいの研究があるかや、研究の課題や分野において不足している領域を特定すること、さらなる研究の方向性を確立することなどとされている。感染対策の分野ではまだまだこのような作業も重要である。CPE保菌患者のケアに関する研究はまだまだ少ない。
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J. Padigos*, S. Reid, E. Kirby, J. Broom
*Sunshine Coast University Hospital, Australia
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