重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2 に対する消毒薬の有効性の比較評価

2023.01.06

Comparative efficacy evaluation of disinfectants against severe acute respiratory syndrome coronavirus-2

G-H. Lee*, S-H. Park, B-M. Song, D-M. Kim, H-J. Han, J-Y. Park, Y-W. Jo, M-Y. Hwang, K-T. Sim, S-M. Kang, D. Tark
*Jeonbuk National University, Republic of Korea

Journal of Hospital Infection (2023) 131, 12-22


背景

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)の急速な伝播を阻止するのに、消毒がもっとも有効な方法の一つである。長期に及ぶ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックを背景として、ヒトーヒト間伝播の防止、および手指・衣類・設備・備品の汚染除去のために消毒薬はきわめて重要になっている。しかしながら、市販の消毒薬の殺ウイルス作用に関する正確な情報がない。

目的

SARS-CoV-2 に対する 16 種類の成分からなる市販の 72 の消毒薬の殺ウイルス効果を評価すること。

方法

製造業者が推奨するさまざまな濃度の消毒薬を用いて、表示された曝露時間で SARS-CoV-2 に対する試験を実施した。50%組織培養感染量の測定によりウイルス力価を算出し、SARS-CoV-2 感染 3 日から 5 日後の細胞生存率をトリパンブルー染色と CCK-8 により評価した。

 

結果

本研究では、83%エタノール、60%プロパノール/エタノール、0.00108% ~ 0.0011%ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、および 0.497%ペルオキシ一硫酸カリウムベースの消毒薬が、SARS-CoV-2 を効果的かつ安全に不活化した。0.05% ~ 0.4%塩化ベンザルコニウム(BAC)、0.02% ~ 0.07%四級アンモニウム化合物(QAC、1:1)、0.4% BAC/塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)、0.28%塩化ベンゼトニウム濃縮物/2-プロパノール、0.0205% ~ 0.14% DDAC/ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(PHMB)、および 0.5%過酸化水素ベースの消毒薬が、SARS-CoV-2 を効果的に不活化したが、これらは細胞毒性を示した。逆に、0.04% ~ 4% QAC(2:3)、0.00625% BAC/DDAC/PHMB、および 0.0205% ~ 0.14%と 0.0173%の過酢酸は、ほぼ 50%の殺ウイルス効果を示し、細胞毒性は認められなかった。クエン酸(0.4%)は SARS-CoV-2 を不活化しなかった。

結論

これらの結果から、市販の消毒薬のほとんどで、SARS-CoV-2 に対して消毒効果があることが示された。しかし、一部の消毒薬、とくにクエン酸や過酢酸の有効濃度および曝露時間の再評価が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

ほとんどの消毒薬が SARS-CoV-2 に対する消毒効果が期待できるとのこと。ほぼ予想通りの結果である。ただクエン酸は SARS-CoV-2 を不活化しなかったということなので注意。

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