ドイツのナーシングホームにおける COVID-19 の爆発的なアウトブレイクと換気システムの果たしうる役割
Explosive COVID-19 outbreak in a German nursing home and the possible role of the air ventilation system J. Hurraß*, R. Golmohammadi, S. Bujok, M. Bork, F. Thelen, P. Wagner, D. Exner, C. Schönfeld, B. Hornei, G. Kampf, M. Exner *Public Health Department Cologne, Germany Journal of Hospital Infection (2022) 130, 34-43
背景
ナーシングホームにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)アウトブレイクの大部分は、看護師または訪問者からの重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)の伝播によって説明される。
方法および結果
2 週間以内に居住者 67 例のうち 64 例(ナーシングブロック 1 では 34 例、ナーシングブロック 2 では 30 例)が COVID-19 症例として特定され、そのうち 32 例以上に COVID-19 関連症状があったアウトブレイク 1 件について記述する。居住者の死亡のうち 13 件は COVID-19 に関連した。さらに、約 60 名の職員のうち 27 名が COVID-19 症例として特定され、そのうち 23 名に関連症状があった。居住者または職員から採取されたサンプルのいずれからも SARS-CoV-2 の変異は検出されなかった。居住者の隔離は、アウトブレイクの始まりからすでに実施されていた。ナーシングホームの 2 つのブロックに職員の交代はなく、職員は居住者との接触中は FFP2 マスクを着用しなければならなかったため、職員に共通する感染源の可能性は低いと考えられた。本アウトブレイクの 3 か月後に、サンプル採取された換気システムの室内表面の 39 カ所中 14 カ所で SARS-CoV-2 の RNA が検出され、Ct 値は 34.9 から 41.9 であったが、検出されたのは廊下の給気口(24 サンプル中 11)および廊下と居住者の部屋の間のドアのオーバーフロー口(11 サンプル中 3)においてのみであり、居住者の浴室の排気装置からは検出されなかった。
結論
アウトブレイク時にウイルス量の多い共通の感染源が存在したと仮定すると、換気システムおよび最初の確認症例の 3 日前の逆転の気象条件によって、ナーシングホーム内のウイルス拡散が助長された可能性がある。
監訳者コメント:
建物全体の排気口と給気口が近く、風向きによって排気口から排気された空気が給気口へ流れて給気され、フィルターも古いタイプのものだったのでウイルスが建物内で拡散されたことがクラスターの原因になったのではないかとする論文。建物の写真も載っており興味深い。仮説の一つとして、あるいはクラスターの検証手法の一つとして参考になる。
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