COVID-19 が病院の抗菌薬適正使用支援プログラムの実施に及ぼす影響-実装研究のための統合フレームワークにより情報を得た調査

2022.11.12

The impact of COVID-19 on antimicrobial stewardship programme implementation in hospitals–an exploration informed by the Consolidated Framework for Implementation Research

N. Hashad*, D. Stewart, D. Perumal, N. Abdulrazzaq, A.P. Tonna
*Higher Colleges of Technology, United Arab Emirates

Journal of Hospital Infection (2022) 129, 144-152


緒言および目的

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因する抗菌薬適正使用支援の混乱が認められれているが、詳細に調査されていない。本研究は、COVID-19 が院内の抗菌薬適正使用支援の実施に及ぼす影響を理解するために、理論に基づいた定性的アプローチを用いた。

 

方法

実装研究のための統合フレームワーク(CFIR)により情報を得た半構造化オンラインインタビューを、院内の抗菌薬適正使用支援チームのメンバーおよび非メンバーに実施した。CFIR 構成概念に対するマッピングに基づいてインタビューのビデオ録画と転記を行い、2 名の調査者が独立して分析し、意図的サンプリングおよびスノーボールサンプリングにより参加者を募集した。

 

結果

病院計 11 施設で 31 件のインタビューを実施した。以下のテーマが特定された:(i)COVID-19 が影響を与える抗菌薬適正使用支援の実施の複雑さの増大および処方行動の変化(ii)抗菌薬適正使用支援サービスへの COVID-19 管理の統合を強化するという適応性、ネットワーク構築、コスモポリタニズム(iii)抗菌薬適正使用支援の実施プロセスの持続性を支援するための適応性およびネットワーク構築。パンデミック前の抗菌薬適正使用支援活動に対する阻害が報告されており、COVID-19 の複雑さが医療システムの混乱を招いた。抗菌薬適正使用支援チームのメンバーおよびサービスでは、パンデミックに対処する任務の適応および転用する能力が示された。介入には、COVID-19 患者の治療のための国内ガイドラインの作成およびガイドラインの管理とモニタリングへの寄与が含まれた。抗菌薬適正使用支援活動の漸進的な回復を認めた。パンデミックの有益な影響として、技術的適応性およびネットワーク構築の強化が報告された。

 

結論

パンデミックに起因する抗菌薬適正使用支援の実施の当初の混乱にもかかわらず、抗菌薬適正使用支援サービスの適応の成功と漸進的変化は、アラブ首長国連邦の病院における抗菌薬適正使用支援の高実施率と適応性を反映するものである。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

本研究は UAE 5 か国で行われた聞き取り調査である。調査に用いられたのは、Consolidated Framework for Implementation Research(CFIR)、Damschroder らによって 2009 年に発表された新しい手法である。
参考:https://www.radish-japan.org/resource/cfirguide/index.html

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