アルバータ州エドモントンの 3 次医療施設での人工股関節または膝関節全置換術後の手術部位感染症の管理戦略に関する後向き分析
etrospective analysis of the management strategies for surgical site infection post total hip or knee arthroplasty from tertiary care centres in Edmonton, Alberta A. Ismail*, J. Leal, F. Au, S. Puloski, K. Mponponsuo, S. Smith, E. Rennert-May *University of Alberta, Canada Journal of Hospital Infection (2022) 129, 1-7
背景
股関節または膝関節置換術後の手術部位感染症(SSI)は、深刻な健康負担と経済的負担をもたらす。
目的
SSI の管理戦略および転帰を評価し、この問題への対処を支援すること。
方法
初回の人工股関節または膝関節全置換術を受け、感染予防・制御サーベイランスの監査によって複雑性 SSI を有すると特定された成人に関し、後向きコホート研究を行った。監査によって関節形成術の 90 日以内の SSI が特定された。2012 年から 2019 年のカナダ、アルバータ州エドモントンの 2 つの 3 次紹介施設の患者を対象とし、SSI 症例に対し 2 年間の追跡調査を行った。
結果
計 240 件の SSI が特定された。このうち 202 症例(84%)がデブリードマンと抗菌化学療法によるインプラント温存(DAIR)によって管理され、そのうち 71%が治癒を得た。DAIR におけるいずれかの術中局所抗菌薬の使用も転帰の改善に関連していなかった(オッズ比 1.68、95%信頼区間 0.91 ~ 3.10、P = 0.097)。関節形成術後 31 日から 90 日に実施された DAIR は、関節形成術後 30 日以内に実施された DAIR と比較して治癒の可能性が低かったが、この差は有意ではなかった(60 vs 73%、P = 0.123)。追加手術を要する初回治療の失敗の治癒率は 51%であった。最初は DAIR で管理されていた治療の失敗の大部分(78%)は、最終的に二期的再置換術を要した。
結論
本研究は、大規模コホートにおける初回の人工股関節または膝関節全置換術後の SSI に関して、集団ベースの観点から外科的管理に洞察を与えるものである。さらに、初期の管理に失敗した SSI も追跡調査した。これらのデータは、SSI に関連する経済的負担などの情報を今後の研究にもたらす可能性があり、SSI 管理を最適化する介入の計画に使用できるかもしれない。
監訳者コメント:
股関節または膝関節置換術後の手術部位感染において、人工関節を温存できるかどうか、またどのような症例なら温存できるかはよく分かっておらず、また実際にどのようなマネジメントを何%くらいの症例が受けているかもよく分かっていなかった。本研究はインプラント温存(DAIR)が 84%と高率に行われ、またそのうち 71%と比較的高率に治癒を得ていることを示した。原因微生物や基礎疾患など、予後予測因子についてもさらなる検討が期待される。
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