感染予防策と関連する手術室のカーボンフットプリント:スコーピングレビュー

2022.10.28

The carbon footprint of the operating room related to infection prevention measures: a scoping review

A. Bolten*, D.S. Kringos, I.J.B. Spijkerman, N.H. Sperna Weiland
*University of Amsterdam, the Netherlands

Journal of Hospital Infection (2022) 128, 64-73


背景

手術室では感染制御策が広く使用されているが、医療部門でのカーボンフットプリントを削減しようという目標との矛盾がどの程度かは、まだ明らかにされていない。

 

目的

手術室で一般的に使用される感染制御策、すなわち医療機器・器具、手術着、空気処理システムのカーボンフットプリントのエビデンスの根拠を統合すること。

 

方法

Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analysis ガイドラインに従って、国際的な科学文献のスコーピングレビューを実施した。PubMed、Google Scholar を用いて検索した。感染制御策、医療部門のカーボンフットプリントに及ぼす感染制御策の影響、および手術部位感染症(SSI)のリスクに関して 2010 年から 2021 年 6 月までに発表された論文を対象とした。

 

結果

病院はカーボンフットプリント削減に努めているが、多くの感染制御策は排出の増加を招いている。再利用できる製品の代わりに使い捨て製品の使用が、電源に応じたカーボンフットプリントを通常増加させるということをエビデンスは示唆している。空気処理システム、汚染、SSI 発生率の間の相関に関して見解が分かれている。文献では、新規空気処理システムは、従来のシステムと比較してより多くのエネルギーを消費し、SSI を必ずしも低減させないことが示されている。

 

結論

手術室の感染制御策は持続可能性と矛盾している可能性がある。新規空気処理システムや使い捨て製品の使用は概して、著しい温室効果ガスの排出につながり、SSI 発生率を必ずしも低減させない。環境への影響が少ない他の感染制御策が利用できる。環境への影響を医療の質の追加項目として採用することで、実施が促される可能性があり、SSI 予防のためのリスクに基づく現行のアプローチが変わるはずである。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

カーボンフットプリントとは、製品の製造からリサイクルまでのライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算したものである。本論文は手術室での感染対策に関連する機器について温室効果ガス排出の視点で検討した論文である。換気システムに必要となる電気、使い捨て製品の廃棄など、感染症対策の次のステップは、これらのことを含めて検討する時代に入っていくようである。

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