急性期病院における感染制御リンクナースプログラムの実施を改善するための戦略★
Strategies to improve the implementation of infection control link nurse programmes in acute-care hospitals M. Dekker*, I.P. Jongerden, M.C. de Bruijne, J.G.M. Jelsma, C.M.J.E. Vandenbroucke-Grauls, R. van Mansfeld *Vrije Universiteit Amsterdam, The Netherlands Journal of Hospital Infection (2022) 128, 54-63
背景
感染制御担当者は、感染制御リンクナースプログラムを実施する際にいくつかの課題に直面する。これらの課題に取り組むための戦略を明らかにすることで、現行の感染制御リンクナースプログラムの効果を改善し、また今後におけるその実施の指針とすることができる。
目的
急性期病院における感染制御リンクナースプログラムのための実践戦略を、実装研究のための統合フレームワーク(CFIR)による実践変更のための専門家の推奨事項(ERIC)実践戦略マッチングツールを用いて明らかにすることを目的とした。
方法
専門家委員会が、われわれのこれまでの研究で特定した実践と持続における 19 の障壁を、最も一致する CFIR の概念にマッチさせた。次いで、われわれは CFIR-ERIC マッチングツールを適用して、これらの障壁に取り組むための実践戦略のリストを作成した。
結果
CFIR の領域のうち、主として「内的セッティング」(実施組織の特性)および「プロセス」(実施の諸段階)に障壁が認められた。ERIC マッチングツールを用いて、感染制御リンクナースプログラムの実施における障壁に取り組むための最も重要な 10 の戦略を特定した:推進者の特定と準備、組織においてコンセンサスを得るための議論の実施、準備状況の評価と障壁および促進因子の同定、組織内のオピニオン・リーダーに対する情報提供、ファシリテーションの使用、学習のための協力体制の創出、組織内ニーズの評価の実施、実施のための正式な計画の作成、提携関係の構築、早期採用者の同定。
結論
CFIRの領域のうち、「内的セッティング」および「プロセス」が、急性期病院における感染制御リンクナースプログラムの実施を妨げる最も重要な要素のようであった。CFIR-ERIC ツールの適用により、推進者の同定および準備が、これらのプログラムの実施を成功させるための主要な戦略であることが示された。同ツールを用いて、戦略を、実施組織における実施および持続に対する障壁のために、個別に具体化することができる。
監訳者コメント:
リンクナースとは様々の医療専門チームと病院公認で連携し、専門的分野において現場で実践する看護師として定義され、感染制御の分野では感染対策を現場に浸透させてゆくためには感染制御リンクナースは必須である。しかしながら、リンクナースのプログラムに関してはこれまで十分な評価がなされずに、時にリンクナースを廃止する施設も認められている。本研究では、リンクナースのプログラム実践における障壁を、CFIR を使って明確にし、それらを臨床現場での改善につなげるための戦略を明らかにしている。
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