呼吸器防護具の進歩:医療従事者による CleanSpace® HALO™ の使用経験

2022.06.16

Advances in respiratory protective equipment: practical experiences of CleanSpace® HALO™ by healthcare workers

L.S. Chong*, A. Bundele, J. Sumner, A. Mukhopadhyay
*National University of Singapore, Singapore

Journal of Hospital Infection (2022) 124, 22-28


背景

個人防護具(PPE)により感染症および危険な物質から保護される。技術の進歩は、呼吸器用 PPE の急速な改善をもたらしたが、新規デバイスにおいて有用性が高まっているか、また正確な使用における共通の障害が克服されているかについて、実臨床における評価が必要である。

 

目的

新規 PPE デバイス CleanSpace® HALO™ について、既存のマスクおよびレスピレーターと比較した使用者の経験を調査し、その長所と短所を明らかにすること。

 

方法

シンガポールの大規模医療施設における現場の医療従事者の集団を対象に、CleanSpace® HALO™ を含めた呼吸器用 PPE の使用経験を調査した。コミュニケーションの容易さ、快適度、使いやすさ、ケア提供能力、呼吸器用 PPE 使用における主観的な有効性、障害、および有効使用のための要因について調査した。

 

結果

回答者計 93 名を解析対象に組み入れた。CleanSpace® HALO™ の評価は、主観的安全性(92%)、快適度(40%)、および脱着の容易さ(53%)において高かった。CleanSpace® HALO™ では効果的なコミュニケーションを行う能力に問題が残っていた(22%)が、患者ケアにおける障害は少なかった(8%)。回答者はまた、CleanSpace® HALO™ では顔面の保護が不完全であると指摘した。

 

結論

呼吸器用防護具は、効果的な感染制御プロトコールにとって不可欠であるが、ケア提供に影響を及ぼすこと、および不正確な使用により、その有用性は限られる。CleanSpace® HALO™ は、既存の電動ファン付き呼吸器防護具と比較して長所を有するが、若干の問題点が残ることが示された。将来のバージョンでは、コミュニケーションの問題を克服し、一般的な悪影響に取り組むことに努めなければならない。CleanSpace® HALO™ に対する使用者の信頼性を高めるためには、教育の改善も必要である。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

モレーンコーポレーションから販売されている CleanSpace® HALO™️の使用感に関するアンケート調査。高い主観的安全性が得られた一方で、顔面の保護が不十分であることや、コミュニケーションが難しいことなどが課題として挙げられた。コロナ禍では通常時と異なる色々なイレギュラーな状況が発生したり、新たなデバイスが用いられた。一つひとつしっかりと振り返ることが重要である。

 

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